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【社内リスク】訴訟が急増中!使用者責任の事例とは

事故・ケガ実際にあった訴訟・判例

従業員が起こした交通事故に関する法的責任と判例

従業員が業務中に交通事故を起こすと、被害者は使用者に対して賠償責任を請求する裁判を起こすことがあります。ここでは使用者責任を問われた裁判や判例を紹介しています。

従業員が起こした交通事故に関する企業の法的責任とは

従業員の交通事故で問われる刑事責任・民亊責任

従業員が業務中に交通事故を起こすと、事故を起こした本人に法的責任が問われますが、事業主にも問われる可能性があります。事業主にかかる法的責任には、刑事責任・民亊責任・行政責任の3つがあります。

  • 刑事責任:酒気帯び・飲酒運転などを会社が容認している場合、罰金刑・懲役などの刑科料が課せられる
  • 民亊責任:使用者に使用者責任・運行供用者責任が問われ、従業員が不法行為の要件を満たした場合は、被害者への賠償金の支払い義務がある
  • 行政責任:一定期間の車両の使用停止、事業停止、営業許可取消
  • 刑事上の責任

    刑法と道路交通法違反で刑事上の責任が問われる

    刑事上の責任とは、法律を犯した者が、国から懲罰を受けることです。懲罰には罰金刑や禁固刑があります。

    交通事故を起こした場合は、刑法と道路交通法の二つが問われ、過失の度合いや事故の内容によって刑罰が変わります。酒気帯び・過労運転をした場合は懲役5年以下、または罰金100万円以下の科料が課せられます。

  • 民事上の責任

    使用者責任と運行供用者責任が問われる民事上の責任

    民事上の責任とは、被害者に対して賠償責任をすることです。交通事故を起こした場合は、事業主に使用者責任(民法715条)・運行供用者責任(自賠法3条)の二つが問われます。

    使用者責任は、従業員が交通事故を起こした第三者に損害を与えた場合の、使用者の賠償責任です。運行供用者責任では、人身事故を起こした場合に、使用者が賠償責任を負います。

実際にあった訴訟・判例

実際にあった従業員の交通事故で企業に問われた判例

従業員が交通事故を起こすと、従業員だけでなく使用者にも様々な責任が問われます。ここでは刑事責任や民事責任を問われて裁判や訴訟になった判例を紹介しています。

  • 企業が刑事責任を問われたケース

    加重積載で運行管理者の責任を問われる

    被告:事業主  原告:-  判決:懲役2年・執行猶予3年・罰金50万円

    加重積載の大型トレーラーを運転中に積み荷が崩れて対向車にぶつかって、運転手が死亡。事業主夫婦に対して運行管理者の責任を怠ったとして、懲役2年・執行猶予3年・罰金50万円の判決を下した。

    名義貸しと無許可運転の罪に問われる

    被告:会社  原告:-  判決:罰金160万円

    ツアーバスの運転手が居眠り運転で高速道路の防音壁に激突して、乗員7名が死亡。ドライバーに名義貸しと無許可営業を許可した罪で、会社に対して罰金160万円の刑が言い渡された。

    過重労働による交通事故で略式起訴

    被告:会社  原告:-  判決:会社の略式起訴・罰金30万円

    トラック運転主は居眠り運転をして渋滞中の車に突っ込み9人の死傷者を出した。会社は従業員に過重労働を強いていたとして所長を逮捕。会社も略式起訴されて30万円の罰金を支払った。

    過重労働の死亡事故で罰金50万円

    被告:会社  原告:-  判決:営業所長に懲役2年・会社に罰金50万円

    居眠り運転のトラックが渋滞中の車列に追突し、6人の死傷者を出した。過労で居眠り運転の危険があると知りながら、5日間連続で乗車させた営業所長に懲役2年、会社に対して、罰金50万円の支払いを命じた。

  • 企業が民事責任を問われたケース

    社用車で帰宅途中の事故に使用者責任

    被告:会社  原告:-  判決:使用者責任を認める

    販売契約担当の従業員Aは、終電過ぎまで業務が続き、社用車で帰宅中に事故を起こした。会社では社用車の私用を禁止していたが、裁判所では客観的に判断して職務の範囲内であるとして会社の使用者責任を認めた。

    ガソリン代支給で使用者責任

    被告:会社  原告:-  判決:使用者責任を認める

    マイカー通勤途中で交通事故を起こした。業務では自家用車を一切使われていない。裁判所は、毎月ガソリン代の支給を受けていて任意保険にも入っていいとして、企業の使用者責任を認める判決を下した。

    前方不注意の死亡事故に使用者責任

    被告:会社  原告:-  賠償額:2,710万6,915円(使用者連帯責任)

    大型トラックを運転していたAは、歩行者の発見に遅れ、横断歩道ではねて死亡させた。ライトを下向きにしていて前方不注意であることから、裁判所は使用者に連帯責任として2,710万6,915円の支払いを命じた。

    社外の運転練習中の事故に使用者責任

    被告:会社  原告:-  判決:使用者責任を認める

    タクシー運転手見習いのAは、社用車で個人練習をしていた時に事故を起こした。会社が認めていない練習場だったが、裁判所はこれを業務とみなし、会社の賠償責任を認めた。

    出勤途中の事故に使用者責任を問う

    被告:会社  原告:-  判決:使用者責任を認める

    自転車便の運転手が出勤途中で交通事故を起こした。運転手は無線機を携帯していて、会社からの連絡に使っていた。裁判所は会社の指揮監督下にあるとして、事業主の使用者責任を認めた。

賠償責任補償の保険適用事例

自動車損害賠償保険に加入して従業員の交通事故に備える

法律では自賠責保険(自動車損害賠責任保険)の加入が義務付けられていますが、被害の大きさや賠償額によっては、保険だけでは支払えないことがあります。高額請求に備えて、任意の自動車損害賠償保険に加入が必須です。自動車損害賠償保険では、従業員が起こした交通事故に対して、対人・対物と、事故を起こした本人と車両の補償が受けられます。

交通事故で被害者が怪我・死亡になると、治療・入院・通院・葬儀・後遺症など、様々な費用がかかり、企業に損害賠償を求めます。保険では法律上の損害賠償責任額に対して、自賠責保険分を差し引いて、保険金として支払われます。

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問われる使用者責任に対応する保険加入は必須

従業員が起こした事故に使用者責任を問われ、雇用主である企業に責任が認められるケースは多々あります。従業員も悪事を働こうと思っていなくとも、うっかり事故を起こしてしまうこともあります。今回紹介した事例だけに限らず、実際に起きた判例は他にも存在するため、企業はあらゆるリスクに備えて対応できる準備をしておく必要があります。

刑事裁判や民事裁判で訴訟となってしまった場合は、企業側にとっても大きな損害が生じかねません。そういった万が一の場合に対処するためにも、賠償責任保険への加入は必須と言えます。裁判などの費用面の補償を行ってくれるため、最悪の事態に陥ってしまった時でも十分な対応が可能です。賠償責任保険に加入して、あらゆる社内リスクにも対処できるように備えておきましょう。