労働時間が1か月 に100時間を超えると過重労働
過重労働とは、時間外労働時間が極端に多いこと。労働基準法の規定では、1週間に40時間を超えた労働時間を時間外労働・休日労働とし、1か月で100時間を超えた時、または2~6か月平均60時間を超えると過重労働になり、労働基準法の違反になります。ただし時間だけで労務の重さを判断するのは難しく、業務内容等の総合的に判断する必要があります。
企業における過重労働・過労死とその事例
過重労働が原因でストレスが溜まると、うつ病などの精神疾患や心筋梗塞、脳梗塞などを発症して死に至ることがあります。
このページでは過重労働・過労死について詳しく紹介しています。
過重労働・過労死の原因は時間外労働や長時間勤務
過重労働とは一口で言ってしまうと「働き過ぎ」です。労働基準法を違犯して、時間外労働や休日労働が大幅に上回ると、心と体が蝕まれていきます。
その度合いが強くなると、ノイローゼ・うつ病などの精神疾患になり自殺したり、脳血管疾患・虚血性心疾患を発症して過労死になるのです。
過労死の原因の直接的な引き金は過重労働ですが、その背景には過酷なノルマに応えようとする、日本人の真面目で勤勉な姿勢が災いしているといえそうです。
労働時間が1か月 に100時間を超えると過重労働
過重労働とは、時間外労働時間が極端に多いこと。労働基準法の規定では、1週間に40時間を超えた労働時間を時間外労働・休日労働とし、1か月で100時間を超えた時、または2~6か月平均60時間を超えると過重労働になり、労働基準法の違反になります。ただし時間だけで労務の重さを判断するのは難しく、業務内容等の総合的に判断する必要があります。
時間外労働が月100時間える
就業時間が9時~18時。連日、5時間の残業が続き、時間外労働の1か月のトータルが100時間を超えた。
3か月の平均月時間外労働80時間
3か月間で時間外労働が240時間を超えていて、平均すると時間外労働が月80時間を超える時。
時間外・休日労働が月平均80時間
イベント期間中、2か月間休日出勤が続いて全く休みが取れず、時間外・休日労働が月平均80時間を超えた。
連日3時間の時間外労働+休日出勤
勤務時間が11時~20時だが、人で不足で毎日3時間早く出勤し、休日出勤が月4回続いた。
3か月で240時間の時間外労働
新規店舗の開店準備に追われ、時間外労働が3か月間で240時間以上になり、1か月で平均すると80時間を超える。
過重労働のストレスから死を招く
過労死とは、過重労働が原因で心身に不調をきたして死亡するケースを指しています。
過労から心身に強いストレスがかかり、虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症等)や、脳血管疾患(脳梗塞・くも膜下出血等)の発作を起こして死亡すると、過労死の対象になります。
過労が原因で精神的に追い詰められて自殺した場合も過労死として認められます。
時間外労働112時間で心不全
残業の多い大手外食産業に勤務。入社4か月で月の平均時間外労働が112時間になり、心不全を起こして死亡。
200時間超の長時間勤務で脳疾患
温泉旅館の料理長の立場から、時間外労働が200時間を超えて、くも膜下出血で倒れる。その2年後に死亡。
業務多量のストレス過多で自殺
塾講師の仕事を家に持ち帰り残業。精神障害を発症して飛び降り自殺。110時間の時間外労働と認められた。
1週間で47時間の超過勤務で自殺
新規開店店舗の準備で1週間の時間外労働が47時間を超えて精神障害を発症して自殺。過労自殺として認められる。
試用期間中の過酷な超過勤務で自殺
試用採用で134~232時間の時間外労働を強いられた。しかし不採用の通知を受けて、翌日に自殺する。
労働基準法に定められた企業の義務と責任
労働基準法は雇用主と労働者の間で交わす労働条件の基準となる法律で、労働時間や賃金、時間外労働、有給休暇などの最低基準が細かく定められています。
企業は労働基準法を遵守し、労働時間などを管理する義務があり、違犯すると企業としての責任が問われます。
過重労働・過労死が発生しない会社作りは弁護士と共に
過重労働・過労死を発生させないためには、まず企業法務の強化が重要です。企業としての対応を明確にすることで、トラブルを未然に防げます。そのために重要なのは、法律の専門家である弁護士の存在。です。
顧問弁護士をつけるのが一般的ですが、まずは弁護士への無料相談サービスなどを活用し、対処をしていくようにしましょう。
長時間労働を是正するワークライフバランス顕彰
過重労働・過労死が大きな社会問題となり、厚生労働相でも長時間労働を是正する、様々な取り組みが進んでいます。
2007年に「ワークライフバランス顕彰」を策定して時間外労働の見直しが始まりました。平成27年には「過労死等防止対策白書」を発表し、過労死の現状を詳細に分析しています。
また28年には「過重労働解消キャンペーン」を展開して過重労働・過労死防止の啓発に努めました。
労働時間と健康管理に努めて過重労働・過労死を避ける
過重労働・過労死を防止するために、企業が行うべき対策を大きくわけると、労働時間の管理と労働者の健康管理の二つがあります。
労働時間の管理
従業員の労働時間を把握して、時間外・休日労働の削減や改善に努め、有給休暇を取得しやすい環境を整えて、過重労働を防ぎます。
労働者の健康管理
社内に産業医や衛生管理者を置き、定期的に健康診断を実施して、診断結果に基づいた適切な対応・処置を行うことで、過労死を防ぎます。
無理に強いられた過重労働は、企業で働く従業員たちを精神的な病に陥らせたり、身体の健康にも被害を与えたりと、体にも心にも様々な悪影響を及ぼす原因となります。企業は働きやすい環境を整えるために労働者の働く時間と健康を管理して、安全な職場を作るための責任を果たすことを第一優先としなければならないでしょう。
過酷な労働内容などの従業員が感じるストレスの原因を察知する取り組みを念頭に置いておく必要があります。過重労働を従業員に押し付け、うつ病やノイローゼになってしまうと労災認定を受け賠償責任を負わなければいけなくなります。そうなると企業側の損害はさらに計り知れないものになり、最悪の場合、倒産ということも考えらえます。企業の十分な労働への取り組みは怠ってはならないことですが、万が一の場合に備えるためにも賠償責任保険に加入しておくことが望ましいでしょう。
過重労働・過労死が労災認定されると賠償責任が
過重労働が原因の病気や過労死が労災認定されると、労働基準法の違反とみなされて、企業の賠償責任が問われます。
実際にそうした訴訟・判例も多く、それに備えるためにも過重労働・過労死防止策を講じる必要性があります。