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第三者賠償責任保険の補償内容
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工事現場で第三者に与えた被害の損害賠償を補償

第三者賠償責任保険とは、建設工事現場などで誤って第三者に被害を与えてしまった場合、その損害賠償金などを補償する保険。いかに注意を払っても、事故のリスクをゼロにすることはできないため、すべての工事関連業者は加入を検討すべき保険と言えます。ここでは、第三者損害賠償責任保険の補償内容について詳しく解説しています。

第三者賠償責任保険とは

第三者賠償責任保険とは、建設工事現場や土木工事現場において、第三者に何らかの被害を与えた場合、その損害賠償を補償する保険です。

建設工事現場にて高所から工具等を落下させて通行人にケガを負わせてしまった、などという事故をたびたび耳にしますが、そのような事例において法律上の損害賠償金を補償するのが、第三者賠償責任保険です。

もちろん、工事現場においては、作業員それぞれが細心の注意で作業を行なっていることでしょう。しかしながら、第三者への被害の可能性をゼロにすることはできません。

万が一の事故に備え、工事に関連する事業を営む経営者は、例外なく加入しておくべき保険と言えます。

工事に関連するすべての業者に加入の必要性

建設工事現場などにおいて第三者に被害を与えた場合、その被害が甚大ならば(死亡、重傷など)、通常、被害者から業者へ損害賠償の請求がなされます。

損害賠償の額は、事故の状況や被害者の年齢などによっても異なりますが、非常に高額になることは避けられません。規模の小さい業者の場合は、損害賠償の額だけで経営が傾いてしまう可能性すらあります。

また、被害者が損害賠償を求める相手は、現場で工事を行っていた下請け会社のみならず、元請け会社にも及ぶ可能性が高いでしょう。

さらに、元請け会社が損害賠償を支払った場合、その賠償額を下請け会社に対して請求してくる可能性もあります。

いずれの状況であっても、事故が発生した場合には、工事に関連した業者の全てが賠償金を求められる可能性があります。

会社を守る上でも、被害者に対する誠意を示す上でも、工事に関連するすべての業者は第三者賠償責任保険に加入しておくべきでしょう。

基本的な補償内容

    第三者賠償責任保険の基本的な補償内容について確認してみましょう。以下は、第三者賠償責任保険を取り扱っている「一般財団法人あんしん財団」の公式サイトを参照しています。

    ■基本補償

    工事現場において、通行人や住人など第三者の身体にケガを負わせたり、または第三者の財物に損害を与えたりした場合、その法律上の損害賠償金額を補償します。

    ただし、保険金の支払い限度月は、1事故・期間中につき2億円を限度とします。

    【補償の例】

    • 建設工事現場において、誤って歩道に資材を落下させてしまい、第三者たる通行人にケガをさせてしまった。
    • 道路工事現場において、歩行者誘導の管理ミスにより、道路に掘った穴に子供が落ちてケガをした。
    • 建設工事現場において足場が崩れ、道路を通過中だった第三者の自動車を損壊させた。

    ■生産物賠償(加入は任意)

    工事が終了して受け渡しが完了したのち、工事に起因する事故で他人の信頼や財物に損害を与えてしまった場合、その法律上の損害賠償金を補償します。

    ただし、保険金の支払い限度月は、1事故・期間中につき2億円を限度とします。

    【補償の例】

    • 建物の建築が終了して引き渡し後、当該建物が倒壊してしまい、隣の店舗が損壊した。
    • 作業終了後、マンホールのふたを閉め忘れ、通行人が穴に落ちてケガをした。
    • 機械設置工事の備え付けミスにより、第三者たる工場の従業員がケガをした。

    ■作業対象物賠償(加入は任意)

    工事中、第三者の財物たる作業対象物を損壊させて被害を与えた場合、その法律上の損害賠償金を補償します。

    【補償の例】

    • 内装業者が壁のクロスの張替を行なうためにエアコンを取り外している際、誤ってエアコンを床に落としてしまい、エアコンと床に損害を与えた。
    • 壁紙の張替工事を行なうためにタンスを移動している際、誤ってタンスをドアにぶつけてしまい、タンスとドアに損害を与えた。
    • 天井補修作業をするために床に養生シートを敷いたものの、その粘着力が強く、シートをはがした際に床の一部が一緒に剥がれてしまった。

    ■補償する保険金の種類

    • 損害賠償金
      治療費などの身体賠償の他に、財物の周知日や再調達費用などを補償します。
    • 応急措置費用
      被害者に対する応急手当や緊急措置に要した費用を補償します。
    • 訴訟関連費用
      訴訟になった場合、弁護士報酬を含めた訴訟関連費用を補償します。

    ■加入資格

    あんしん財団会員事業所の建設関連業種

    ■補償対象事業者

    • 建築工事・設備工事
      建築工事、大工工事、左官工事、石工事、電気工事、屋根工事、鉄筋工事、板金工事、塗装工事、機械器具設備工事、内装工事、建具工事など
    • 管・土木工事、その他
      管工事(冷暖房設備、空調設備、給排水・給湯設備、ガス管配管、ダクト工事など)、土木工事、とび・土工工事、舗装工事、造園工事など

    ※清掃業、ビルメンテナンス業、廃棄物処理業など、加入ができない業種もあります。詳細は財団にお問い合わせください。

    ■保険期間

    保険期間は1年です。個別の工事ごとを保障するのではなく、1年間で行なわれるすべての工事について包括的に保障されます。保険を継続させる場合には、保険期間が満了になる前に、翌年1年分の更新手続きが必要となります。

    参考:一般財団法人あんしん財団公式サイト「第三者賠償責任保険」
    https://www.anshin-zaidan.or.jp/member/subsidy/el_shiyosha/

各保険会社の第三者賠償責任保険概要

保険会社と保険商材 主な補償内容 加入・契約方式
三井住友海上
【ビジネスプロテクター(建設業用)】

施設・設備の管理不備による事故(身体/財物)
業務中の事故(身体/財物)
生産物・仕事の結果による事故(身体/財物)
被害者治療費等補償
初期対応費用補償
訴訟対応費用補償
基本補償+オプション補償
東京海上日動火災保険
【超ビジネス保険】

施設・事業活動遂行事故の補償
生産物・完成作業事故の補償
管理下財物事故の補償
借用不動産損壊事故の補償
財物損壊を伴わない使用不能損害事故補償特約
被害者治療費用補償特約
基本補償+オプション補償
損保ジャパン日本興亜
【企業総合賠償責任保険(CGL)】

施設および業務遂行リスク
請負業務遂行リスク
生産物リスク、作業終了・引渡し後のリスク
人格権侵害・宣伝障害
その他オプション
基本補償+オプション補償
AIG損保(旧AIU保険)
【事業総合賠償責任保険(STARs)】

業務遂行・施設リスク
生産物・完成作業リスク
工事遅延損害リスク
純粋財物使用不能リスク
人格権侵害・宣伝障害リスク
工事用財物の補償
事業用動産の補償
基本補償+オプション補償
日新火災海上保険
【総合賠償責任保険(ビジサポ)】

工事中の他人への損害(身体/財物)
借用財物への損害
工事後の他人への損害(身体/財物)
被害者治療費
その他の賠償事故
被害にあった場合の賠償請求
基本補償
明治安田損保
【請負業者賠償責任保険】

仕事の遂行中に生じる偶然な事故
施設の欠陥や管理不備による事故
基本補償
共栄火災
【商売の達人(K-Biz)】

事故対応費用
訴訟対応費用
損害賠償金
見舞い費用
生産物自体の損害・回収費用
事故再発防止費用
基本補償+オプション補償
あいおいニッセイ同和損保
【建設業総合保険(タフビズ)】

施設・設備等の管理の補償
業務遂行の補償
工事・作業の結果や生産物の補償
各種費用の補償
オプション補償
基本補償+オプション補償
大同火災海上保険
【DAY-PRO!賠償総合保険】

施設リスクへの補償
業務リスクへの補料
生産物リスクへの補償
賠償リスクの補償範囲拡大オプション
費用に関するオプション補償
基本補償+オプション補償

保険会社各社の工事に関する保険概要

三井住友海上【ビジネスプロテクター(建設業用)】

■工事内容や業種別に賠償リスクをまとめて補償

三井住友海上のビジネスプロテクター(建設業用)は、建築や工事など建設業における、施設・業務・生産物などに関する様々なリスクを、包括的に補償してくれる保険です。

また、作業中の事故によって、他人の身体や財物に与えた損害を補償してくれるだけでなく、訴訟に発展した場合の訴訟費用や弁護士報酬、損害防止費用、事故後のブランドイメージ回復に要する費用などについても、まとめて補償してもらうことが可能です。

ビジネスプロテクター(建設業用)は、ベーシックプランとプレミアムプランの他に、オプション補償を付加することで、より充実した補償を受けられますが、さらに土木工事業・建築工事業・建築設備工事業など業種別のおすすめプランも用意されており、様々なニーズに合わせてより細かいリスク管理が行えます。

オプション補償では、下請業者や孫請業者などのミスで発生した事故に関する、使用者賠償責任補償などもあり、万が一の場合に備えたい時にも安心です。

東京海上日動火災保険【超ビジネス保険】

■地盤崩落事故リスクや訴訟リスクについてもカバー

東京海上日動火災保険の超ビジネス保険は、事業にまつわる様々なリスクを、1つの保険で包括的に補償できる保険です。

財産に関する補償、公示に関する補償、賠償責任に関する補償などに関して、職種や業務内容ごとのニーズに応じた内容を、まとめて基本補償として選択できる上、さらに細かい補償に関しても、オプション補償を加えることで対応できます。

賠償責任に関する補償については、まず6つの基本補償によって、作業中に発生した第三者の身体・財物に対する損害事故や、作業後の事故に関するリスクに幅広く備えます。

そしてさらにオプション補償によって、対人事故の被害者に対する治療費や、土地の掘削や建物の基礎工事に関連して発生した、地盤崩落事故リスクなどについても補償可能です。

その他、事故対応費用補償特約をつけておけば、訴訟に発展した際にも安心感が高まります。

損保ジャパン日本興亜【企業総合賠償責任保険(CGL)】

■オーダーメイド型の第三者賠償責任保険

損保ジャパン日本興亜の企業総合賠償責任保険(CGL)は、オーダーメイド型の賠償責任保険として、事業活動に関連する第三者賠償リスクをまとめてカバーする、第三者賠償責任保険です。

基本補償として、建築工事・設備工事・土木工事などにおける、請負業務の遂行中に生じた事故に関する事故だけでなく、業務を完了して引き渡した後に生じた事故リスクに関しても、備えておくことができるので安心です。

その他、従来の保険契約方式では対象外となりがちだった、昇降機賠償や請負業者賠償に関しても包括的に補償されるというメリットもあります。

AIG損保(旧AIU保険)【事業総合賠償責任保険(STARs)】

■第三者賠償リスクを1年間まとめて補償

AIG損保の事業総合賠償責任保険(STARs)は、建設業や製造業といった業種に応じた第三者賠償リスクを、1年間ずっと包括的に補償してくれる総合賠償責任保険です。

建設工事業務に関しては、日本国内で発生した対人・対物事故や、施設の管理・使用の不備による対人・対物事故について、被害者への損害賠償金や訴訟費用、被害者治療費などさまざまなリスクを総合的にカバーされるので、安心感が高まります。

また、引き渡した後に発生した対人・対物事故によって、被保険者が負うべき法律上の損害賠償責任についてもしっかり補償されます。

その他、物理的な損壊を伴わない第三者の逸失利益や、工事の遅延による損害といったリスクについても基本補償で備えられているという点は注目すべきでしょう。これらに加えて、様々なオプション補償も用意されています。

日新火災海上保険【総合賠償責任保険(ビジサポ)】

■建設業を取り巻くリスクを包括的に補償

日新火災海上保険の総合賠償責任保険(ビジサポ)は、業種ごとに想定される様々な法律上の賠償リスクに関して、1つの保険で包括的に補償する総合賠償責任保険です。

建設業に関しては、工事中に発生した事故で他人の身体や財物に与えた損害だけでなく、下請業者の作業員が起こした事故や、基礎工事中に地盤が陥没した結果の損害などもまとめてカバーされるので、安心感が高まります。

また、工事の遅延によって生じた損害や、訴訟に発展した場合の費用、さらに引き渡し後に生じた事故による賠償リスクなどについても、まとめてカバーされるので、リスク管理を考える上でメリットの多い保険といえるでしょう。

その他、被害者治療費等補償特約によって、他人に身体障害が生じたり死亡したりした場合、被保険者が負うべき法律上の賠償責任の有無にかかわらず、治療費や葬祭費用が支払われる点も安心です。

明治安田損保【請負業者賠償責任保険】

■建設業にまつわる賠償責任リスクを補償

明治安田損保の請負業者賠償責任保険は、ビル建設や道路建設、土木工事といった、請負業者が行っている作業中に生じた、偶然の事故による賠償責任リスクを補償する保険です。

また、業務遂行の為に所有・使用・管理している施設に関しても、その施設の欠陥や管理不備によって生じた事故が補償されるので、万が一の際の備えとして有効です。

共栄火災【商売の達人(K-Biz)】

■ニーズに合わせて補償金額を選べる総合賠償責任保険

共栄火災の総合賠償責任保険、商売の達人(K-Biz)は、損害賠償金や見舞い費用、生産物自体の損害・回収費用などを補償するベーシックプランと、さらに事故対応費用や訴訟対応費用、事故再発防止費用などをお補償するワイドプランの、2プランから基本補償を選択できます。

また、さらにオプションを追加することで、建設業者専用の工事遅延補償や、財物損壊を伴わない使用不能損害についてもカバーできるので、業務の規模や業種に合わせて補償を選べる点が安心です。

その他、補償金額について、契約期間中の総支払限度額を「1億円」・「3億円」・「5億円」の3パターンから選んで設定できるという点も特徴です。

あいおいニッセイ同和損保【建設業総合保険(タフビズ)】

■建設業にまつわる賠償責任リスクを手厚く補償

あいおいニッセイ同和損保の建設業総合保険(タフビズ)は、基本補償がそろったベーシックで、建設業に関連する様々な賠償責任リスクを包括的に補償可能な保険です。

ワイドプランでは、工事遅延損害や子宮財物損壊に対する補償、受託物損壊に対する補償など、6つの基本補償を追加できるので、さらに内容を充実させることができます。

その他、賠償損害や物損害などに関する様々な補償をオプションで付け加えることで、地盤崩壊リスクや、工事対象に対する物的損害リスクを、工事の種類に関係なく補償することもできるので、業種や工事の規模、内容といったニーズに合わせて自由に保障内容を設計できる、オーダーメイド型の第三者賠償責任保険という点もメリットといえるでしょう。

また、法定外補償規定を定めている場合や、一定期間ずっと無事故である場合などにおいて、割引制度も用意されているので、事故防止に対してしっかりと取り組んでいる企業にでは、コスト的な優遇を受けられる点も魅力です。

大同火災海上保険【DAY-PRO!賠償総合保険】

■建設業で想定される賠償リスクへの補償が充実

大同火災海上保険のDAY-PRO!賠償総合保険は、建設業・製造業・卸売業・小売業・飲食サービス業に分類される事業で、かつ1年間の完成工事高が50億円以下の事業者を対象とした、包括的な賠償責任保険です。

まず基本プランによって、施設・設備の管理不備や、昇降機の管理不備に対する賠償責任、業務中に生じた賠償責任、業務を行った結果が原因で生じた賠償責任などを、まとめてカバーすることができます。

さらに、補償範囲を拡大する12種類のオプションが用意されており、ニーズに合わせて手厚く補償内容を設計することも可能です。

その他、様々な費用面におけるリスクを補償する費用オプションも6種類あり、また支払限度額は5千万円から10億円の範囲で11パターンから、免責金額も0円から100万円の範囲で8パターンから選択できる為、かなり細かいオーダーメイド型の賠償責任保険といえます。

第三者賠償責任保険が適用されるケース

第三者賠償責任保険は、事業に由来する第三者への賠償責任を補償してくれる保険ですが、補償対象となるケースとならないケースもあり、注意しておく必要があります。ここではまず、AIG損保の「建設業向け事業総合賠償責任保険(STARs)」を参考にして、保険適用となる例を確認しておきましょう。

■設備工事の遂行・施設管理による対人・対物事故についての補償

  • ・ビルの建設工事中に建築資材を落下させて、通行人を死傷させた。
  • ・ビルの改修作業中にスプリンクラーを破損させて、室内の備品を損壊させた。

■工事完了後に引き渡したものに由来する対人・対物事故についての補償

  • ・電気の配線工事にミスがあり、引き渡し後に火災が発生した。
  • ・配水管の接続ミスで工事完了後に水が漏れて、階下の事務所に物的被害を与えた。

■物理的損壊を伴わない他人の財物の使用不能によるリスクの補償

  • ・ビル建設中にクレーンが倒れて道路を塞ぎ、周辺店舗の営業を妨げてしまった。

■工事遅延によるリスクの補償

  • ・工事中に発生した事故で工事が中断し、施主の営業開始予定日に間に合わなかった。

■人格権の侵害・宣伝活動に伴う権利侵害によるリスクの補償

  • ・住宅の内装工事中に誤って壁のエアコンを落下させて、エアコンを損壊した。

■作業対象物損壊担保特約

  • ・ビル建設中にクレーンが倒れて道路を塞ぎ、周辺店舗の営業を妨げてしまった。

■建設受託物損害担保特約

  • ・夜間に倉庫へ泥棒が侵入し、元請負人から支給されていた資材が盗まれた。

■仕事の目的物の損壊担保特約

  • ・エアコン設置工事のミスで後に火災が発生し、周囲の壁やエアコン自体を損壊した。

■使用者賠償責任保険特約

  • ・工事中に作業員が機械の操作ミスで死亡し、遺族から損害賠償を請求された。

■工事用仮設備・工事用機械器具担保特約

  • ・クレーンで吊り上げた建築資材を落下させ、工事用のコンプレッサーを破壊した。

■メインテナンス期間中担保特約

  • ・設置工事をした機械について定期点検を行った際、作業ミスで機械が破損した。

■賠償責任にかかる補償

  • ・被害者に対する損害賠償金の他、損害防止に要した費用や緊急措置費用、争訟費用、原因調査費用などを補償。

第三者賠償責任保険が適用外となるケース

第三者賠償責任保険では補償されないケースもあり、注意が必要です。

■第三者賠償責任保険で適用外となるケース

  • ・被保険者や保険契約者、現場責任者の故意による損害
  • ・被保険者や、被保険者以外の者による犯罪行為による損害
  • ・保険期間修了後に発見された不当行為
  • ・工事請負代金額や約定履行日等が定められた工事請負契約書にない作業による損害
  • ・自然の経年劣化や消耗によって生じた事故による損害
  • ・地震もしくは噴火、またはこれらによる津波の被害
  • ・被保険者が法律上、または請負契約上において、法律上の賠償責任を負わない損害

具体的な適用事例などに関しては、保険会社や保険商品によっても異なる為、詳細の確認には個別の問合せが必要です。

工事に関連するすべての業者に

建設工事現場では、安全第一を掲げていても事故はいつ起こるか分からないもの。工事期間中、または受け渡し後に発生する事故の可能性をゼロにすることはできません。そのため第三者賠償責任保険に入っておくことをおすすめします。

「気を配っているから大丈夫だろう」「ベテランの職人ばかりだから大丈夫だ」と思っていると、事故が起きたときに取り返しのつかないことになりかねません。いつ起こるかわからない事故には、事前の備えが大切なのです。事故が発生してしまうと、被害者への損害賠償に追われるだけではなく、取引業者との信頼関係にも影響することもあります。

  • 01

    加害者でなくても損害賠償責任を負うリスクがある

    第三者賠償責任保険は元請や下請など、関係なく工事に関わる請負業者に必要だといえます。それは第三者にケガを負わせた場合、下請と元請は直接の責任がなくても、その被害者に対していずれも賠償責任を負うリスクがあるからです。

    たとえば、建設中のビルで機械が倒れて近隣の家屋に被害を与えたとしましょう。その際に発生する損害賠償について考えてみてください。施行主は下請会社なので、基本的には下請が損害賠償責任を負う必要がありますが、元請も損害賠償責任を問われる可能性があるのです。これは元請会社が作業工程について詳細な指示を出すといった「指揮」「命令」「監督」を行なっていた場合に責任が発生します。

  • 02

    元請会社が下請会社へ損害賠償を請求することもある

    建設工事現場の事故に巻き込まれた被害者は、下請と元請の両方に対して損害賠償請求できます。また下請業者と元請業者の賠償責任は連帯責任と考えられているため、どちらにも責任が発生するのです。元請会社が損害賠償金を請求され支払った場合、後日下請会社に同額の賠償額を請求するケースがあります。そのため、元請も下請も第三者賠償責任保険に加入しておく必要があるのです。

  • 03

    絶対に加入するべき第三者賠償責任保険

    第三者賠償責任保険は、請負工事をしている際に通行人や住民をケガさせたり、物を破損させたりして損害賠償を負った場合に損害賠償額を補償してくれる保険です。受注したすべての工事について完成引渡し後も補償してくれます。

    事故が起きると高額な賠償金が発生し、全額支払うには資金調達の問題が発生するでしょう。

    裁判や示談交渉になってしまうと、解決までに時間と費用がかかり、会社の資金繰りに支障をきたす可能性もあります。第三者賠償責任保険に加入しておくことで、これらの心配事を解消できるでしょう。

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