経営者が知っておくべき、事業リスクの事例
売上減少・経営悪化(イメージ)
Risk 01

売上減少・
経営悪化

業績悪化による経営者の責任・リスクを
まとめて紹介

企業の事業リスクのひとつに、売上の減少などにともなう経営悪化があります。ここでは、売上減少の要因や事例や経営者が負うことになる責任について詳しく説明いたします。

売上減少・業績悪化の要因

要因には内部要因と外部要因がある

売上減少や業績悪化の要因には、内部要因と外部要因の2つに分けられます。内部要因とは、サービス改善や価格改定など自社でコントロールできる要因。一方、外部要因は景気変動や自然災害など自社でコントロールできない要因です。具体的なリスクを見ていきましょう。

  • 自然災害や事故による売上減少・業績悪化

    例えば、大きな地震や台風、水害といった自然災害によって、自社のオフィスや工場の設備など大きな損害を受けた場合、あるいは従業員による不慮の事故などによって、事業が一時的に停止することで、売上の減少することが予想されます。

  • 市場・景気の変化による売上減少・業績悪化

    市場ニーズの変化に対応できず、自社製品やサービスの売上が減少することがあります。また、消費税率のアップ、リーマンショックのような世界規模の景気低迷を招く事象が起きることでも、製品・サービスの売上が落ちることも考えられます。

  • 競合激化による売上減少・業績悪化

    自社と同じ製品やサービスを提供する会社が多くなることで、競争が激しくなるリスク。価格競争に負けるというケースもありますし、最近では、大手スーパーマーケットや介護福祉事業のように大企業が参入することで、中小の業者が倒産するといったケースも多くなっています。

  • 商品やサービスの質・販売方法による売上減少・業績悪化

    製造業でもサービス業でも、顧客満足度を高めるために、商品やサービスの品質が重視される傾向は高まっています。検査チェックが甘いなど不良品の多い製品を納品されると、取引先からの信頼を失い、結果取引中止、売上減少へとつながることもリスクです。

  • 取引先やグループ会社に起因する売上減少・業績悪化

    取引先やグループ企業の販売不振などが、自社の経営を悪化させるケースもあります。特に大手企業の下請けで、その会社に売上の多くを頼っている場合は要注意。取引先が大企業でも、不祥事などで経営が悪化し倒産すると、自社の経営にも大きな影響を与えます。

  • 法的規制・法改正などによる売上減少・業績悪化

    消費税率の引き上げ、パート・アルバイト社員の最低賃金、保険料や法人税率の改正など法律や条例、規制の変更により人件費など費用増加や、販売ができなくなる商品があるといったことで売上減少につながることがあります。

  • 人材の流出による売上減少・業績悪化

    有能な社員を多数抱える企業であっても、待遇面などの条件で他社に奪われてしまい、売上が大きく減ることも想定されます。また、業界的にも将来に明るい見通しがないなど市場の変化によっても人材が流出し、会社の業績に大きな影響を与えることもあります。

  • 設備投資・事業拡大による売上減少・業績悪化

    過度な設備投資が資金繰りを悪化させ、結果的に回収できずに業績悪化、倒産というケースも多々あります。また、事業を多角化することで売上アップやリスク分散をしたものの、本業がおろそかになり、結果的に会社の信頼を失い倒産するといったこともあります。

  • 放漫経営による売上減少・業績悪化

    社員の不正など、ずさんな管理体制が表面化し、売上の減少や業績悪化につながることもあります。特に景気が後退し始めて経費を削減しなければならなくなったときに、なかなか削減ができず、最終的には倒産を招くこともあります。

売上減少・業績悪化による倒産の例

倒産の理由でもっとも多い売上減少・業績悪化

企業が倒産した理由で、もっとも多いのが売上の減少や業績悪化です。具体的にどのような要因が売上減少・業績悪化につながったのかは、会社によってそれぞれ理由はあります。ここでいくつかの事例を紹介します。

  • 人材流出をきっかけに業績が悪化した衣料品販売・レンタル会社

    優秀なスタッフが競合に転職したことで破産に

    ある地方都市で、衣料品や宝飾品の販売・レンタルをおこなっていたA社。業績も安定しており地元では優良企業のひとつだったのですが、優秀な営業スタッフが競合に相次いで転職。残された社員のあいだに暗雲が立ち込めてきます。新たなサービスを展開するも増収にはつながらず、負債が増えるばかりでついには倒産してしまいました。

  • 法改正により業績が悪化した貸金業者

    経営悪化の引き金となった貸金業法の改正

    個人や個人事業主を相手とした消費者金融業を営んでいたB社。バブルがはじけた1990年代に売上が伸びてゆき、自社ビルの新築や事業拡大なども続けてきました。ところが、2000年代になると消費者金融業界のトラブルが多発し、国会でも大きな問題に。貸金業法が改正されたことが、B社の経営を悪化させ、ついには新規貸付業務の停止にまで追い込まれました。

  • 競合激化によって業績が悪化したスーパーマーケット

    大手スーパーの参入で売上額は半分に

    地元では圧倒的な知名度のあったスーパーマーケットC社。チェーン展開もしており、ピーク時の1990年代には約80億円もの売上がありました。しかし、2000年代に入ると大手のスーパーマーケットが参入。ほぼ独占状態であったC社は、競合の激化により売上は減っていきます。不採算店舗の閉鎖などあらゆる手段を講じますが、それでも立て直しができず、最近の売上高は約40億円とピーク時の半分にまで落ち込みました。

  • 市場の縮小や取引先の倒産により倒産した製造会社

    デフレと取引先破産が致命傷となり倒産

    ハイヒールやブーツなど革製の婦人靴を製造していたD社では、大手靴卸業者をメインに盤石な営業基盤を築いていました。しかし、長引くデフレにより革製品市場は大きく縮小。売上高は半減し、赤字に転落してしまいます。保有不動産の売却など赤字脱却に努めたものの、メインの取引先であった大手靴卸業者が倒産したのをきっかけに、D社も倒産してしまいました。

  • 震災の影響から経営悪化した建設業者

    景気低迷と震災で仕事が急減し倒産に

    E社は、商業施設や工場などの建築を手掛ける、地域に密着した総合建設業者でした。バブル期には経営の多角化にも乗り出していましたが、景気低迷で間もなく縮小。さらに追い打ちをかけたのが東日本大震災で、仕事が急激に減少。加えて不良債権の発生や支払遅延が頻発し、ついには倒産してしまいました。

  • 事業拡大で経営悪化した会社

    副業が足を引っ張り本業も経営悪化に

    主に内装工事やリフォームを手掛ける建築会社F社は、1990年代後半から飲食産業に進出。事業の多角化を目指すようになりました。2000年代には、中小の飲食店チェーンを子会社化し、店舗の全国展開を達成。ところが、このころから資金繰りが悪化したことで店舗を一斉閉鎖に追い込まれる事態になり、事業を一気に縮小することになってしまいました。

業績悪化で経営者が負う責任とは

法的責任はなくても経営者としての責任は果たすべき

売上減少や業績悪化によって会社が倒産しても、その会社の経営者に負債の支払いについて法的責任を負うことは、原則ありません。

ただし、例外はあります。例えば、経営を立て直すために金融機関から借入をした際、経営者が保証人または連帯保証人となった場合には、返済責任を果たす必要があります。

また、経営者の不正や不適切な職務執行によって会社が倒産した場合には、損害賠償責任が生じることもあります。

このような例外に当てはまらず、法的責任はないとしても、対外的に経営者としての責任が追及されることは免れないでしょう。

売上減少や業績悪化に陥った際には、経営者の報酬を減らすなど自らが身を切らなければ、社員のリストラを勧告しても受け入れらません。場合によってはリストラされた社員から訴訟を起こされ、それが倒産の引き金になるようなことも考えられます。

こうした売上減少・業績悪化によるリスクに対し、補償する保険も出ています。それが企業向けの「賠償責任保険」です。

仮にリストラされた社員から損害賠償の訴訟を起こされ賠償額が発生したとしても、その額を賠償責任保険で賄うこともできます。

さまざまな事業リスクに対し、こうした保険を備えておくことも会社経営におけるリスク対策の大きなポイントといえるでしょう。