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【社外リスク】業種別に見る会社の賠償責任事例
運送業(イメージ)
Risk 03

運送業

使用者責任として考える運送業の事故リスク

近年は運送業の労災問題が話題になど労働環境の悪化が懸念されます。他にも預かった貨物に損害を与えた場合の責任など、事故が起きた時に問われる安全配慮義務違反や賠償責任について解説します。

億単位の訴訟に備えた賠償責任保険加入

労働環境の悪化は事故リスクも引き上げる

対人・対物を問わず、運送業では事故リスクを免れないのが実情です。近年では人手不足や労働環境の悪化が各方面から指摘されており、それに付随するように事故の報告も上がってきています。 運送業では、億単位の損害賠償請求訴訟が起こることも決して珍しくありません。

  • 高速道路上の事故で約33億円の支払い命令

    訴訟内容
    首都高を走っていたタンクローリーが炎上し、損害賠償請求訴訟が起こされた。運送会社は共済保険に加入済みで、およそ10億円の支払いをすでに原告に対して行っていたが、最終的に32億8千万円の賠償金支払い命令が下された。
  • 輸送中の事故で1億3千万円の賠償

    訴訟内容
    呉服や毛皮など高価な商品を輸送中にトラック運転手が追突事故を起こし、輸送品が全焼。荷主が運送会社に対して2億6千万円超の損害賠償請求訴訟を起こした。そもそも運送会社は輸送品が億単位の荷物だと知らされていなかったが、賠償金は結果的に1億3千万円に上った。
  • 運転手が腰痛を訴え運送会社が4千万円を支払い!

    訴訟内容
    運送会社で働いていたトラック運転手が腰痛を訴えて入院。運転手は、腰痛の原因が作業方法や過重労働だとして、運送会社に対して4037万円の損害賠償請求訴訟を起こし、そのほぼ全額3971万円の支払い命令が下った。

事故、労災を中心に運送業での損害賠償請求訴訟は頻発しており、賠償責任保険への積極的な加入なくして事業を遂行することは極めて困難です。 各社の賠償責任保険の特徴は以下のページにまとめていますのでご参照ください。

運送業における安全配慮義務・賠償責任

他業種と比べて労災の件数が多く、事故にも要注意

アマゾンを筆頭とするネット通販市場の拡大とともに労働環境の悪化が懸念される運送業。安全配慮義務及び賠償責任のリスクとしてまず対策しなければならないのは労災です。他業種と比べても労災の件数が多いので要注意。他にも、取引先から預かった貨物の保守管理、輸送中の対人・対物事故などがトラブル要因として挙げられます。

輸送中の安全配慮義務・賠償責任

運送業では車両の管理や労働環境が事故に関係

運送業における主業務はやはり貨物の輸送。輸送中に起きる事故の原因は、自動車などの車両に起因するものと、運転者に起因するものとに分類することができます。

車両に起因する事故は整備などの管理体制に依存します。メーカーの欠陥に起因する場合はまた別ですが、所有する車両台数も多く、移動距離も膨大になる運送業ではより安全配慮義務や賠償責任に対処しておく必要があります。

運転者に起因する事故は、過重労働や健康管理といった労働環境が悪化することでリスクが高くなります。運転者が輸送業務に集中できるような環境づくりをすることも企業の責任ですし、安全教育を怠るのも問題。運転者が事故を起こせば、会社は使用者責任として安全配慮義務違反や賠償責任を追わされることになるでしょう。

輸送中の事故による損害は、一般車両の対人・対物だけでなく、預かった貨物への損害賠償責任が発生することも覚えておいてください

預かった貨物に対する安全配慮義務・賠償責任

損壊・紛失・盗難など貨物の事故に責任を負う

預かった貨物に損害を与えるような事故は、様々な場面で起きうるもの。輸送中の車両事故によって貨物が損壊することもありますし、倉庫で一時保管している時に火事で焼失することもあるでしょう。貨物の積み下ろし作業でも多くの物量を預かっていれば、ちょっとしたミスが貨物の損壊につながります。

他にも紛失や盗難など、取引先から預かった荷物をきちんと保管・輸送する義務を負うため、事故が起きて貨物を損壊させてしまうと安全配慮義務違反や賠償責任で訴えられる事態となってしまいます。

貨物引き渡し後の事故に対する安全配慮義務・賠償責任

引き渡し後にも運送業者の賠償責任が問われるケース

貨物を引き渡したからといって、運送業としての安全配慮義務や賠償責任がそこで完了するわけではありません。例えば、引き渡しの際に貨物の積み方が悪く、貨物が崩れて第三者にケガを負わせたり、貨物に損害を与えれば賠償責任を問われます。

クール便など生鮮食品を輸送する場合には管理責任も発生します。運送業者の管理に問題があって、例えば食中毒の原因と特定されれば、荷主にも食品を口にした消費者にも迷惑をかけることになります。

従業員の不法行為に対する賠償責任

社員の交通事故で経営者の刑事責任が問われることも

観光バスの運転手が居眠り運転をしたことで乗客に人的被害を及ぼしたという事故を複数記憶している人も多いでしょう。乗客と契約したのは旅行代理店であったとしても、こうした場合はバス会社の乗客に対する不法行為が問われ、損害賠償責任が発生するのです。

また、従業員の主業務として車両を使う運送業では、業務中に社員が交通事故を起こした場合、会社の使用者責任が問われます。場合によっては民事責任だけでなく、会社や経営者が刑事責任を問われることもあるので、安全運転を遵守するコンプライアンスを徹底することが求められます。

運送業における賠償責任に備えた保険加入

ネット通販の普及もあり、運送業者の存在感は年々高まってきています。そんな時勢だからこそ、迅速に確実に、そしてなによりも安全に荷物を届けるためにも、運送業を営む会社ではリスクヘッジを考慮した取り組みが必要とされています。

運送業は車両を取り扱って業務を遂行することが主な職種のため、交通事故によるトラブルが非常に起きやすいものです。事故を完全に無くすことは不可能です。そのような防ぎようのない大きなリスクへの対策として、賠償責任保険には必ず加入するべきです。輸送中に起きてしまった事故や預かった貨物を破損してしまい訴訟になってしまった場合、多額の損害賠償を請求されることもあります。予期せぬリスクによって大きな損害を被ってしまうと会社自体が倒産してしまう恐れもあるため、費用等の補償をしてくれる賠償責任保険に加入して万全の備えを心がけましょう。