居づらくさせる言葉を言って妊婦をいじめる
女性の上司や同僚、部下などから受けるいじめです。「産休に入ると仕事量が増えて困るのよね」「つわりで休んだのって、本当はズル休みだったんじゃない」などの嫌味を言って精神的に追い詰めます。
結婚していることや、妊娠・出産したことへの嫉妬が原因になっているようです。
企業で起きるマタハラとマタハラ判例について
マタハラ(マタニティハラスメント)とは、妊娠・出産した女性に対する不当な扱いです。平成29年に「育児・介護休業法」が改正されたことで改めて注目されています。
ここではマタハラについて詳しく紹介しています。
4つに分類されるマタハラのパターン
マタハラとは、妊娠・出産・子育てを理由に、同僚や上司から肉体的・精神的な苦痛を受けたり、不当な扱いを受ける行為をいいます。
種類を大きくわけると、「価値観押し付け型」「いじめ型」「パワハラ型」「追い出し型」の4つに分類されます。
近年、育児休暇を取る男性の増加に伴い、育メンに対する上司や同僚の嫌がらせ「パタニティ・ハラスメント(パタハラ)」の被害も増えてきています。
居づらくさせる言葉を言って妊婦をいじめる
女性の上司や同僚、部下などから受けるいじめです。「産休に入ると仕事量が増えて困るのよね」「つわりで休んだのって、本当はズル休みだったんじゃない」などの嫌味を言って精神的に追い詰めます。
結婚していることや、妊娠・出産したことへの嫉妬が原因になっているようです。
妊娠・出産退職を促す言葉を口にする
先輩から「お腹が大きくなってきたのに、いつまで働いているの?さっさと辞めたらどう」と言われる。
流産で休んだことを非難する
繁忙期に流産して1週間ほど会社を休んだ。出社すると上司から「これだから妊婦って困るのよね」と言われる。
つわりで休んだことを非難する
つわりがひどく会社を3日休んだ。出社後、同僚から「つわりぐらいで休むなんて、いい身分よね」と言われた。
上司の退職をほのめかす言葉
「お腹が大きくて大変でしょ。辞めたかったらいつでも辞めていいのよ」と上司から毎日のように言われる。
残業ができないことを非難する
「私たち毎日残業しているのに、妊婦は残業なしで定時に帰れていいわね」といやみを言われる。
退職を促すマタハラはマタハラの中でもっとも多い被害
妊娠・出産・育児で長時間働けなくなった女性に対して、上司や経営者が退職を促すような言葉や行動を取る行為です。日本では未だ妊娠しても育児休暇が取りにくく、退職を促す企業があります。マタハラの中でももっとも多い被害で、泣き寝入りするケースが少なくありません。
入社時の約束を持ち出す
社長から「最初から子供ができたら辞めてもらうって言ってたこと、忘れていないよね」と言われる。
妊婦を雇う余裕がないと言う
人事部長と面談の際に、「悪いけどうちは妊婦を遊ばせておくほど余裕がある会社じゃないんだよね」と言われる。
会社の規律が乱れると言う
お局さんから「産休取った人なんて誰もいないのよ。会社の規律を乱してまで産休取るの?」と言われる。
上司が残業を強要する
上司から「妊娠したからって定時で帰るつもりなの?猫の手も借りたいくらい忙しいのわからないの」と言われる。
産休明けに席がないと脅す
人事部長に産休の話をしたら「戻ってきても君の机が残っているかどうかわからないからね」と言われた。
価値観押し付け型とパワハラ型もマタハラの一種
いじめ型、追い出し型以外のマタハラには、「価値観押し付け型」「パワハラ型」があります。
価値観押し付け型は「子供ができたら家庭に入るべき」など自分の価値観を押し付けるタイプ。悪気はないのですが、受け取り方によっては悪意に感じられることがあります。
パワハラ型は妊産婦に対して威圧的な態度を取る行為です。今まで通りの就業スタイルで長時間労働を求めたり、休むことを許さないマタハラです。
子供優先の価値観を押し付ける
「いつまで働いているつもりなの?子どものことを最優先に考えないとだめじゃない」と言われる。
女性は男性に養われるという価値観
「ご主人、いい会社に勤めてるんだから、妊娠してまであなたが働くことないじゃない」と言われる。
時短勤務を許可しないパワハラ
時短を相談したら部長から「うちの会社では時短勤務の許可はない。定時までしっかり働け」と言われる。
他の社員と対等にするパワハラ
「妊婦だからって何甘えたこと言ってるんだ。他の社員と同じ条件で働いてもらわないと困るんだよね」と言われる。
子供の世話は姑が見るという価値観
「子供が熱を出したからって休まれると困るね。お姑さんに面倒を見てもらえばいいだろ」と言われる。
育児・介護休業法で義務付た企業のマタハラ防止策
2016年3月に男女雇用機会均等法の改正に伴い、2017年1月から「育児・介護休業法」の施行が始まりました。これは、仕事と育児・介護の両立を目指した法律です。改正により育児・介護休業が取りやすくなり、残業の免除も受けられるようになりました。
事業者に対しては、妊娠・出産・育児・介護休業の取得を理由にしたハラスメント(マタハラ・パタハラ・ケアハラ)の防止策を講じるように義務付けられています。
マタハラが発生しない会社作りは弁護士と共に
マタハラを発生させないためには、まず企業法務の強化が重要です。企業としての対応を明確にすることで、トラブルを未然に防げます。そのために重要なのは、法律の専門家である弁護士の存在。です。
顧問弁護士をつけるのが一般的ですが、まずは弁護士への無料相談サービスなどを活用し、対処をしていくようにしましょう。
マタハラ防止義務の新設で事業所からマタハラをなくす
これまでの男女雇用機会均等法では、「妊娠・出産」に限定したものでしたが、今回の改正により妊娠・育児・介護まで範囲が広まり、新たにマタハラ防止措置義務が新設されています。
マタハラ防止措置とは、育児・介護に関わる従業員へのマタハラ防止措置を各企業で講じるように義務付けたものです。これに育児・介護に関わる従業員が働きやすくする、事業所全体の見直しが迫られています。
企業に義務付けれた5つのマタハラ防止策
マタハラ防止措置では、下記の5項目に対して、事業主が措置を講ずるように定められています
1. 事業主の方針の明確化
マタハラに対する考え方と、問題が発生した際の事業主の方針を明確にして、全従業員に周知徹底する。
2. 相談窓口の設置
相談窓口を設置すると同時に、相談窓口対応者を決めて、相談者に対して適切な対応を行う。
3. 迅速・適切な対応
当事者や第三者から事実関係を聴取して、加害者に対して適切な処分を下し、再発防止に努める。
4. 業務体制の整備
マタハラが発生した原因や背景を探ると同時に、業務体制の整備や業務の効率化に努める。
従業員のマタハラで企業の賠償責任が問われる
企業には従業員を守る義務があり、マタハラが発生すると賠償責任を背負うことになります。実際に賠償責任をめぐって訴訟に発展した判例も数多くありますので、きちんと対策を講ずる必要があります。