樹木の管理主体者に対する法的責任
会社が管理する樹木により倒木事故が発生した場合、その被害に対して会社は民事・刑事、いずれの面からも責任を問われる可能性があります。
倒木によって他者に被害が生じ、損害賠償が命じられた判例は少なくありません。自社が管理する敷地内に樹木が存在する場合、その樹木自体が事業リスクの一つと考えるべきでしょう。倒木事故による損害賠償の事例や、会社に課せられる責任について詳しく解説します。
自社が所有する樹木が倒れて他者に被害を与える事故
会社が管理する樹木が倒れ、他者に被害を与えた場合、会社は損害賠償責任を問われる可能性があります。倒木しないよう十分な管理を行っていた場合は別ですが、同様の事故の大半は、樹木の根元が腐っていたなどの管理不備が原因で発生しています。 会社が管理する敷地内に樹木がある場合には、改めて安全状態を確認してください。加えて、万が一の事故に備え、施設賠償責任保険に加入しておくべきでしょう。
樹木の管理主体者に対する法的責任
会社が管理する樹木により倒木事故が発生した場合、その被害に対して会社は民事・刑事、いずれの面からも責任を問われる可能性があります。
樹木の管理主体は、被害者に対して治療費や慰謝料、治療中に得られるべきだった収入などの賠償責任を負います。 なお賠償責任を負うのは、あくまでも管理主体。自治体が事業者に管理を委任していたとしても、賠償責任は管理主体である自治体が負います。同様に、管理主体が民間企業であれば、その民間企業が賠償責任を負うことになります。 ただし、樹木の管理を十分に行っていたことが認められた場合については、管理主体者は賠償責任を問われません。
林業などを営む事業者が樹木の伐採中、不注意で通行人に被害を与えた場合、加害者本人はもちろんですが、場合によっては監督者や役員も業務上過失致死傷罪に問われる可能性があります。法定刑は、5年以下の懲役(もしくは禁錮)または100万円以下の罰金となります。
土地に接着させた人工物のことを工作物と言います(民法7171条)。具体的には、門や電柱、土地に設置した看板などです。また人工物ではありませんが、樹木も、同条第2項により工作物とされています。 会社が所有する工作物が他者に被害を与えた場合、その損害賠償をカバーする保険は施設賠償責任保険です。補償範囲は以下の通り。
施設賠償責任保険は、倒木以外にも、非常に広い範囲の事故被害をカバーしています。今一度、加入中の損害保険を確認し、施設賠償責任特約が付帯しているかどうかを確認してみると良いでしょう。
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