機械保険の補償範囲
機械保険イメージ

機械保険の補償内容とは

機械の損害を補償する重要な保険

機械保険とは、工場や事務所に設置した稼働可能な機械等が、何らかの原因で損害を受けたり故障したりしたときに、これを補償する保険です。工場に機械設備を一箇所に多く設置している会社、または、台数は少なくても高額な機械設備を導入している会社は、ぜひ検討すべき保険と言えるでしょう。ここでは機械保険の補償範囲の例や、補償適応外の例、火災保険との違いなどを詳しく解説します。

機械保険とは

機械保険とは、工場や事務所などにある稼働可能な機械を対象にした保険。何らかの理由によって保険の対象となる機械が稼働できなくなった場合、これを補償する保険です。

保険会社から支払われる保険金には、主に以下のようなものがあります。

損害保険金

機械を稼働可能な状態に戻すために要した費用について、これを補償します。機械の修理費用が、損害保険金にあたります。

臨時費用保険金

機械の故障等に対応した際の宿泊費や交通費について、これを補償します。上限額が決まっていることが一般的です。

残存物取片づけ費用保険金

機械が故障等によって使用できなくなってしまった場合、その機会の片付けや取り壊し等に要した費用について、これを補償します。上限額が決まっていることが一般的です。

損害防止費用保険金

機械の損害の発生防止、または損害の拡大防止のために要した費用について、これを補償します。ただし、上記「損害保険金」が支払われる事例においてのみの補償となります。

なお、契約のタイプについては、機械ごとに個別で契約をする「個別機械契約」と、事業所内の機械設備を一括で契約する「機械包括契約」の2種類があります。保険会社によっては、「個別機械契約」しか用意していない例もあります。

各保険会社の機械保険概要

保険会社と保険商材 主な補償内容 加入・契約方式
三井住友海上
【機械保険】

従業員や第三者の運転や取扱上のミス、過失による事故
他物の衝突や落下事故
ショート・アーク・スパーク、過電流等の電気的事故
遠心力による破壊などの機械事故
圧力容器の破損・破壊事故
凍結・落雷事故
ボイラーの空焚き事故など
不測かつ突発的な事故
基本補償
東京海上日動火災保険
【機械保険】

従業員や第三者の運転や取扱上のミス、過失による事故
設計や製造または材質の欠陥による事故
工場製作、組立作業の欠陥による事故
保守点検不良による事故
ショート・アーク・スパーク、過電流等の電気的事故
回転機械の飛散や破壊事故
凍結事故
他物の衝突や落下事故
落雷事故
ボイラーの爆発、破裂、空焚き事故など
基本補償
損保ジャパン日本興亜
【機械保険】

従業員や第三者の運転や取扱上のミス、過失による事故
第三者の故意や悪意によって起こった事故
ショート・アーク・スパーク、過電流等の電気的事故
異物混入による機械事故
落雷事故
他物の衝突、落下事故
選択
AIG損保(旧AIU保険)
【機械保険】

不測かつ突発的な事故 基本補償
明治安田損保
【機械保険】

従業員の誤操作・電気的事故・物体の落下等偶然な事故 基本補償

保険会社各社の機械保険に関する保険概要

三井住友海上「機械保険」

■従業員の操作ミスによって損害が発生した時も補償

三井住友海上の機械保険は、突発的な事故や落雷や凍結による事故によって機械装置や設備の故障が起きたときに補償されるのはもちろん、従業員の操作ミスなど人為的な取り扱い不良によって損害が発生した場合も手厚く補償されます。ただし、火災による損害は補償されませんので、火災保険と合わせて契約する必要があります。事故によって発生する費用だけでなく、事故による臨時の出費に充てるための費用や、残存物の片づけ費用、損害の拡大を防止するための費用も補償内容に入っています。

東京海上日動火災保険「機械保険」

■突発的な事故を手厚く補償

東京海上日動火災の機械保険は、不測かつ突発的な事故により、稼働可能な状態にある機械設備や装置に損害が発生したときに補償してくれる保険です。例えば、従業員の操作ミスによる機械の破損や、設計や製造上の欠陥、異物の混入による機械の破損など機械設備を使用する会社にとって起こりうるリスクを幅広くカバーしてくれる保険です。

損保ジャパン日本興亜「機械保険」

■保険対象の機械を個別または包括から選択できる

損保ジャパン日本興亜の機械保険は、工場や事業所にある機械設備や装置において、取扱いミスや落雷、ショートなどによって損額が出た際に補償してくれる保険です。保険対象に設定する機械を、電動機、発電機のような動力機械、プレス、溶接機のような作業機械など、保険対象とする機会を個別に設定するプランと、事業場内の機械を包括して対象とするプランの2つから選択することが可能です。

AIG損保「機械保険」

■損害拡大費用まで手厚くサポート

AIG損保の機械保険は、不測かつ突発的な事故によって保険対象の機械に損害が発生した場合に補償してくれる保険です。稼働可能状態に復旧するための費用だけでなく、さらに損害拡大や再発を防止するための費用まで手厚くサポートしてくれます。

明治安田損保「機械保険」

■万が一に備えた企業の機械を守る保険

従業員の誤操作や電気的事故、さらに物体の落下による破損や汚損など、偶然かつ不測な事故により所有する機械設備や措置が損害を受けたときにその修理費や再取得費用を補償してくれる保険です。

機械保険が適用されるケース

機械保険はその名の通り、工場や事業所で使用している稼働可能な機械装置や設備が、不測かつ突発的な事故によって破損するなどの損害が発生した場合に補償してくれる保険です。

■点火ミスによるボイラーの爆発

  • ・従業員の点火ミスによりボイラーが爆発してしまった。(損害事例1,000万円)

■モーターの焼き付きによる破損

  • ・モーターが焼き付いてしまい使えなくなってしまった。(損害事例500万円)

※ただし、火災や火災による爆発による損害は対象外

■異物の混入による破損

  • ・異物の混入や巻き込みによって機械が破損した。(損害事例700万円)

■従業員や第三者の運転・取扱ミス・過失による事故

  • ・従業員が機械の取り扱いを誤ってしまい施盤を破損してしまった。(損害事例350万円)

■他物の衝突による事故

  • ・フォークリフトを運転中に、倉庫内の機械にぶつかり破損してしまった。(損害事例650万円)

機械保険の適用外となるケース

機械保険は、機械の故障や破損した場合にすべてを補償してくれるわけではありません。補償が適応外となるケースについて、東京海上日動の「機械保険」を見てみましょう。

■機械保険の適用外となるケース

  • ・契約者、代理人、または保険の対象の使用や管理を委託された者の故意または重大な過失による損害
  • ・保険の対象に瑕疵がある場合。ただし注意しても気付き得なかった瑕疵は除く
  • ・戦争や外国の武力行使などの暴動による損害
  • ・騒擾など集団行動による破壊行為による損害
  • ・差押えや没収、または公共団体の公権力の行使による損害
  • ・地震やこれらによる津波による損害
  • ・台風、旋風、竜巻、暴風等の風災による損害
    ※ただし洪水、高潮を除く
  • ・台風、暴風雨、豪雨等による洪水、融雪洪水、高潮、土砂崩れ、落石等の水災による損害
  • ・土地の沈下などによる損害
  • ・核燃料物質、核燃料物質によって汚染された放射性など有害な物質による損害
  • ・火災や火災による爆発や破裂による損害
  • ・置き忘れや紛失、盗難、詐欺などによる損害
  • ・腐食、さび、浸食などによる損害、またはこれらに起因してその部分に生じた損害
  • ・自然の消耗または劣化が進行した結果によって生じた損害
  • ・ボイラスケールが進行した結果によって生じた損害
  • ・保険の対象を仮に修理した状態のように応急措置により運転または使用している間に生じた損害
  • ・すり傷、かき傷、塗料のはがれなど機能に支障をきたさない損害
  • ・ソフトウェアまたはプログラム等に生じた損害
  • ・保険の対象の製造者、販売者が被保険者に対し法律上責任を負うべき損害

機械保険の場合、機械設備や装置に物的損傷が伴わない場合は補償が受けられません。詳細については、保険会社または保険代理店で確認してください。

機械保険と火災保険の違い

機械保険には、火災による機械の損害を補償する機能がありません。火災によって機械に損害が生じた場合は、火災保険によって補償されます。

一般に、火災保険の補償範囲は広めです。火災による損害だけではなく、風災や水災、落下物による被害、など火災以外のものも広くカバーしているのが火災保険です。火事にいたる一歩手前のショートやスパークで機械が故障した場合も、火災保険の補償範囲に含まれる場合もあります。

ただし、火災保険の商品内容によっては、機械設備の故障や損害を補償の対象外にしている場合もあるので、今一度、現在加入中の火災保険の補償範囲を確認しておいたほうが良いでしょう。

なお、機械保険の加入を検討する際には、保険料の節約のためにも、火災保険と補償内容が重複していないかを確認しておいてください。補償範囲が不明な場合には、契約した代理店などで改めて確認してもらったほうが良いでしょう。

高額な機械を導入している法人は加入を検討すべき

製造業に限らず、機械を設置している業種は数多くあります。百貨店・専門店の小売業、レストラン・旅館などのサービス業、オフィスなどでも社内には様々な機械や設備が導入されているはずです。そういった意味では、どのような業種であれ一度は機械保険への加入を検討してみるべきだといえます。特に多くの機械を使用する製造業では、機械保険への加入は必須といっても過言ではありません。

  • 01

    高額な機械の所有が、事業推進とリスクを抱える両面をもたらす

    工場内に設置している機械や設備の総額は、億単位を超えるところも決して少なくはないでしょう。それらが従業員の作業ミスによって故障することは、十分に考えられます。機械の機能が失われてしまうと、再び多くの財産をはたいて設備投資をしなければいけません。仮に融資が遅れることで資金繰りが難しくなると、最悪の場合は経営が破綻してしまう可能性すらあります。つまり、高額かつ多数の機械を所有する企業ほど、保険への加入は避けられないと言えるでしょう。

  • 02

    補償範囲の違いも要確認

    機械保険は火災保険とは違い、火災による損害の補償の機能が無いのが特徴です。火災保険は火災や風災、水災など広い範囲で損害を補償してくれます。高額な機械が多く、機械保険の加入を考えている場合には、火災保険と保険内容が被っていないかを必ず確認しましょう。 火災保険は商品内容によって、火災手前のショートやスパークでも保証範囲に含まれている場合があるため、余計な経費となってしまうことも十分にあり得るからです。機械設備の故障など、補償範囲が明確に違う保険であれば、把握もしやすいでしょう。

  • 03

    抜け漏れのない保険を知るべき

    保険料を抑えながら損害を幅広くカバーするためには、抜け漏れなく多くの種類を拾っていかなければいけません。これから機械保険への加入を検討しているという経営者の方は、万が一の事態に備えて包括的な賠償責任保険への加入がおすすめです。事件や事故は起きるタイミングが予測できるわけではないので、いざという時のためのリスクヘッジをしておくことが重要といえます。様々な保険会社の内容を比べて、自分にとって、会社にとって一番合った保険を見つけましょう。

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