似ているようで実は違う!リストラと不当解雇の違い
リストラと似た言葉に不当解雇という言葉があります。どちらも企業側から解雇される状態ではありますが明確な違いがあります。
リストラとは、正式にはリストラクチュアリングの略で、企業の経営状態悪化による人員削減の手段として行う解雇手続きです。整理解雇などがこれに含まれます。
一方不当解雇とは、労働基準法や従業員と交わす雇用契約書の内容、また就業規則の内容を守らずに企業側の都合で一方的に従業員を解雇することを指します。不当解雇は度々問題となり企業側が法的に責任を求められることになります。
リストラはあくまで、企業の経営状態の悪化に基づく人員削減手段であることを念頭に置いておきましょう。
なぜ起こる?リストラハラスメントが起こる背景
労働契約上、経営が危機に陥っているなど一定条件を満たしていない限り、企業側は従業員を解雇することはできません。そのため経営状態が悪いわけではないけれど人員整理を行いたい、人件費を下げたいと言ったことでは基本的に企業側はリストラを行うことはできません。
つまり退職とは原則従業員の意思であることが前提で、企業側は優遇措置を用意、提示するなどして退職するよう求めることしかできません。このため退職を促す退職勧奨を断られた場合に、それでもなんとか従業員側の意思で辞めてもらおうと嫌がらせ行為が発生してしまうのです。企業側で円滑に解雇をしたいというのはなかなかハードルが高いことが想像できるのではないでしょうか。
リストラハラスメントの違法性
リストラハラスメントにはどのような違法性があるのでしょうか。 リストラハラスメントのような行為は、退職を強要する行為として捉えられ、使用者の行き過ぎた退職勧奨として損害賠償請求をされることがあります。例えば過度なリストラハラスメントによる精神的苦痛(うつ病などを発症するなど)に対する慰謝料の請求が労働者側は可能となります。またハラスメント行為により働けなくなった、あるいは不当に退職日が早まったなどの事実が認められれば、本来元気に働いていれば得られていたはずの賃金(逸失利益と言います)を請求されることもあります。
この他にもむやみに解雇することは退職の強要として、民法ではなく脅迫罪、強要罪と言った刑法として扱われる場合もあります。状況によっては刑事罰が下される場合もあり企業としては注意が必要です。
従業員を雇ったら備えておきたい雇用関連賠償責任保険
事業を拡大させ会社を大きくさせていくには、従業員を雇い働いてもらうということは不可欠です。 しかし従業員を雇うことで逆に思わぬリスクも発生します。従業員と揉めることがないよう常日頃から心掛けておくことはもちろんですが、こういう問題は思わぬところで発生するものです。いつ起こるともわからない問題に備えて、早い時期から保険と言う形で備えておくことも対策として有効です。
雇用関連賠償責任保険(雇用慣行賠償責任保険とも言われます)とは、ハラスメント行為や不当解雇と言った従業員との法的問題に対して企業側に賠償請求を求められた場合に補償する保険です。事前に準備をしておくことで万が一に従業員と揉めるようなことが発生した場合にも、冷静に対応対処することが可能になります。