PI保険の保障内容や適応例について、大きく6つに分けてご紹介します。
■船舶と衝突した際の賠償責任と費用
船舶同士の衝突が生じた際には、自動車事故と同様に、加害者は被害者に対して損害賠償を負うことになります。また、相手方の船舶の撤去費用など、様々な費用も発生します。PI保険は、これら賠償責任や費用を補償します。
【適応例】
- ・衝突によって、相手方の船の乗組員に死傷者が出た
- ・衝突によって、相手方の船に積んであった財物が損傷した
- ・衝突による油漏れで、漁場の海産物に被害を与えた
油漏れに起因する損害賠償については、保険会社によって補償されないケースもあるため、契約の際には補償内容をよく確認するようにしてください。
■船舶以外のものに損害を与えた場合の賠償責任と費用
船舶における事故は、必ずしも船舶同士の衝突だけとは限りません。自動車が店舗に突っ込む事故と同様に、船舶が港湾設備などに接触して損害を与える事故もあります。PI保険では、これら船舶以外のものに与えた損害についても補償の対象としています。
【適応例】
- ・船舶が港湾のクレーンに接触して損害を与えた
- ・船舶が海中ケーブルを切断した
- ・船舶が定置網に侵入してしまい損害を与えた
■船舶が直接人に与えた場合の賠償責任と費用
船舶が直接人の身体に損害を与えた場合、PI保険はその事故に関わる賠償責任を費用を補償します。船舶の積み荷の最中に陸上で働く作業員がケガをしたり、漁船が海水浴客と接触したりする事故も報告されているため、船舶を扱う業者は注意が必要です。
【適応例】
- ・陸上作業員が船舶から荷をおろしていた際、荷物が落下して作業員がケガをした
- ・船舶とダイバーが接触し、ダイバーがケガを負った
■座礁などによる船舶の片付け費用
座礁などによって船が全損し航行不能となった場合、海上保安庁や市区町村長などから残骸の撤去命令を受けることがあります。PI保険は、その際の船舶の残骸の片付け費用を補償します。
■衝突以外の原因による油濁事故
油漏れは、船舶同士の衝突以外の原因でも発生することがあります。座礁による船舶の破損や、給油ミス、バブル操作ミスなどです。PI保険では、これら衝突以外の原因による油濁事故の損害についても補償します(保険会社によっては補償しないケースもあるので要確認)。大型船などから油漏れが発生した場合には、近海の海産物に大打撃を与えることは必至。その損害額は、想像だにつきません。
■輸送中の他人の財物に対する損害
他人の財物を船舶で輸送中、何らかの理由でその財物に損害が発生してしまった場合には、持ち主に対して損害賠償責任を負わなければなりません。
かつては、船舶で輸送中の貨物に損害が生じた場合、たとえ船主の過失による損害であったとしても、その損害を補償するのは荷主の貨物保険でした。しかしながら法律では、業界におけるこの暗黙の習慣を覆し、貨物の損傷を船主が補償するものと判断しました。