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経営者が知っておくべき、事業リスクの事例
製品・サービスによる事故(イメージ)
Risk 03

製品・サービスによる事故

製品事故やリコールが経営を悪化させた事例

自社の製品事故、欠陥製品によるリコールなどが起因して企業の経営を圧迫することがあります。こうした製品事故やリコールの原因、事例、企業の責任についてまとめています。

製品事故とは

消安法で定められている「製品事故」の定義

消費生活用製品安全法(消安法)では、「製品事故」について以下のように規定しています。

  • (1)一般消費者の生命または身体に対する危害が発生した事故のうち、危害が重大であるもの。

  • (2)消費生活用製品が滅失し、またはき損した事故であって、一般消費者の生命または身体に対する重大な危害が生ずるおそれのあるもの。

例えば、製品事故により利用者が死亡または治療期間が30日以上におよぶ重傷病、後遺障害、一酸化炭素中毒などの事故をもたらした場合。また、製品の発火にともなう火災など消費者の財産に大きなダメージをもたらすような事象も製品事故と認定されます。

少し前ですが、パロマ瞬間湯沸器事故や、松下電器(現:パナソニック)の発火事故にともなう一斉リコールなどが重大な製品事故・リコール事例として挙げられます。

製品・サービス事故の原因

設計や製造上の問題や経年劣化による不備も含まれる

製品やサービスが起因する製品事故。その原因について、独立行政法人の製品評価技術基盤機構では、製品事故の原因は主に以下の3項目に区分されるとしています。

  • 設計上、製造上または表示に問題があったと考えられるもの

    製品の設計不良や製造不良、事業者の品質管理の徹底に不備があったことなどが起因して事故につながるケース。また、利用者への注意喚起をする表示や取扱説明書に不備がある場合も含まれます。

  • 製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられるもの

    もともと設計不良や製造不良、事業者の品質管理の徹底不備の製品で、さらに利用者の使い方にも事故の原因があるケース。この場合にも、表示や取扱説明書の不備が原因で起こった事故が含まれます。

  • 製造後長期間経過したり、長期間の使用により性能が劣化したと考えられるもの

    製品の経年劣化により、製品事故が生じる可能性があるケース。こうした事故が起きないよう、消費者自身が適切なメンテナンスなどをおこなうこともありますが、特に家電製品の場合は、自分で点検・保守が難しいこともあり、メーカー側の責任とされやすいです。

製品事故・リコールの事例

重大事故から大量自主回収の事例も

製品事故のなかには、消費者(利用者)が死亡するといった重大な過失があるケースも後を絶ちません。こうした事例や、自主回収などのリコールをしたケースをまとめて紹介します。

  • パロマ瞬間湯沸器事故

    不正改造で安全装置が動かなくなった事件

    パロマ工業が製造した瞬間湯沸器で、一酸化炭素中毒による死亡事故が発生。後の調べで、同様の事故が17件も発生しており、犠牲者は15人にもおよびました。原因は不正改造により、安全装置が正常に働かなかったため。遺族側の訴訟によりパロマに賠償請求が命じられました。

  • シンドラー社、エレベータ誤作動事故

    エレベータ事故の連続で販売撤退に

    2006年、都内賃貸住宅に設置されたエレベータが、開閉中に突然上昇。乗り込もうとしていた学生が挟まれ、死亡する事故が発生しました。その前後にも同社のエレベータでは誤作動や不具合が発生。風評被害も発生し、2016年には国内販売から撤退しています。

  • 松下電器、電気コンロ発火事故

    300万台もの家電製品を自主回収

    2007年、松下電器(現・パナソニック)の電気コンロの電源が誤作動で入ることが原因で、室内の一部を焼損する火災が発生。この製品では同様の事故が54件も起きていたほか、電子レンジや冷蔵庫なども発煙・発火のおそれがあるとして自主回収。対象商品は28機種・約305万台にもおよびました。

  • シャープ、電気冷蔵庫リコール

    該当製品の無償点検、部品点検を実施

    2012年、シャープ製の電気冷蔵庫から発火し、焼損する事故が発生。過去にも10数件、同様の事故が起きていたことも発覚しました。コンプレッサーに使われている部品の品質に不良があったことが原因と判明し、無償点検および部品交換の対応をおこないました。

  • 冷却パットによる製品事故

    冷却パットでアレルギー性接触皮膚炎に

    冷却パットを使用していた女性が、アレルギー性接触皮膚炎を起こした製品事故。使用されていた防腐剤が一部製品から漏れ出したことが原因とされ、メーカー側はすべての製品を自主回収して対処しました。

  • 電動アシスト自転車のバッテリ発火事故

    保管していたバッテリが出火し、火災発生

    電動アシスト自転車のバッテリを充電して保管していたところ、バッテリとその周辺を焼損する火災が発生。バッテリ内部の電解質の漏出が原因とわかり、該当商品をリコールしました。

  • 温水洗浄便座の発煙事故

    長期使用による漏水が原因で煙が発生

    10年以上使用している温水洗浄便座から発煙するトラブルが発生。長期使用により製品内部に水が浸入し漏電することが原因で、メーカーや販売店では10年以上使用している方へ買換えを検討するよう呼びかけています。

  • 防塵マスクの自主回収

    健康被害の可能性もあるため自主回収

    工事現場などで使用される防塵マスクの排気弁に、傷や異物付着によって規格を具備しなくなることが発覚。場合によっては健康障害を引き起こすとして、メーカー側が自主回収をおこないました。

  • 花火の異常爆発

    消費者は軽いやけどをして、発売禁止に

    花火に着火したものの、火が消えたようになったため近づいた際、製品の側面が裂ける爆発が発生。消費者が軽いやけどを負いました。発射薬の詰め方が不十分など不良品だったことが原因で、メーカー側は商品の販売を禁止しました。

  • セラミック金網のリコール

    アスベストが混入していることが発覚し自主回収

    島津理化が販売していた、学校の理科実験などに使われるセラミック金網に、アスベストが混入していることが発覚。販売先の学校に対して自主回収の協力を促しました。品質管理体制の不十分さが原因とされます。

製品事故における企業の責任とは

法的な面と社会的な面から負う責任

自社製品について製品事故が発生した場合、企業に対しての責任はどのようなものが生じるのでしょうか。法的な面と社会的な面で、考えてみます。

  • 01

    法的な責任

    刑事上の責任と、民事上の責任がある

    製品事故により消費者が死亡または重症を負った際、刑事上の責任として、刑法211条の「業務上過失致死傷罪」に問われることがあります。

    その製品が不良であると知って販売していた場合(作為型)はもちろん、不良と知りながら適切な対応をおこなわなかった場合(不作為型)にも責任は問われます。例えば、三菱自動車のトレーラーの車輪が外れ母子三人が死傷した事故においても、以前にも同様の事故が発生していたにもかかわらずメーカーが改善対応を怠ったことで有罪が確定しています。

    刑事上の責任だけでなく、民事上の責任も追及されることがあります。上記事例でも紹介したパロマ製の瞬間湯沸かし器事故では、パロマと修理業者へ約1億2,000万円余りの損害賠償が命じられています。

  • 02

    社会的責任

    リコールや使用停止の呼びかけも責任のひとつ

    社会的責任としては、製品の自主回収(リコール)や無償点検、部品交換などの対応が挙げられます。また、長期間使用されている製品の経年劣化による製品事故などは、使用停止を呼びかけることも必要。重大な事故が予想される場合には、新聞広告やテレビ等さまざまなメディアで告知することもメーカー側の責任です。