【社内リスク】訴訟が急増中!使用者責任の事例とは

セクシャル ハラスメント実際にあった訴訟・判例

企業が負うべき法的責任とセクハラの裁判事例

企業でセクシャルハラスメントが起きると、被害者や加害者が下された処分に対して不満をいだいて裁判に発展する判例もあります。ここでは実際に起きた裁判や判例を紹介しています。

セクハラに関する法的責任とは

セクハラで問われる5つの法的責任

セクハラは被害者の人権を侵害する行為です。セクハラが起きると、加害者と被害者の関係に留まらず、加害者に法的責任が科せられることがあります。また、業務時間内にセクハラが行われた場合は、企業にも法的責任が問われます。主な法的責任には、下記の5つがあります。

  • 人権侵害
  • 民事責任
  • 使用者責任
  • 事業主の債務不履行責任
  • 刑事責任
  • 人権侵害

    人権侵害は権力者が弱者の権利を侵害する行為

    人権とは、憲法で保障されている人間としての権利の一つであり、権力のある者が弱い者を脅かす行為を「人権侵害」といいます。権力のある上司が、弱い立場の女性に対して性的な嫌がらせ(セクハラ)をする行為は人権侵害であり、人間としての権利を無断で踏みにじる行為です。

  • 民事責任

    悪質なセクハラは民事責任が問われて賠償責任の対象に

    セクハラをした加害者は、その行為に違法性があり、不法行為であると認められると民亊責任が問われます。加害者の言動や継続性、被害者との関係など、一つひとつを判断しながら総合的に判断します。なおセクハラを受けても、被害者が声をあげなかったり、講義しなかった場合、いわゆる泣き寝入りする場合は、同意のものとみなされて、民亊責任が問われない判例があります。

  • 使用者責任

    従業員の不法行為に対して事業主が責任を負う義務

    使用者責任とは、使用人が業務を遂行する上で、第三者に危害を加えた場合、損害を賠償する責任のことです。業務中に行われるセクハラは、加害者である従業員が、第三者である従業員に危害を加えたことになり、事業主にも使用者責任が問われます。

  • 事業主の債務不履行責任

    セクハラ対策を怠ると課せられる債務不履行責任

    事業主は企業内において、セクハラが発生しないように対策を取り、セクハラが起きた場合でも、適切な処置を迅速に講じる責任と義務があります。この2つを怠っていたためにセクハラが起きると、事業主は民法上の債務不履行責任を問われることがあります。

  • 刑事責任

    悪質なセクハラは刑事責任が問われて刑罰を受ける

    刑事責任とは、罪を犯して刑罰を受ける法律上の責任です。セクハラはその行為の内容によって、刑事責任に問われることがあります。主な刑事責任には、軽犯罪法上の付きまとい行為、強制わいせつ罪、強姦罪、傷害罪、信用毀損罪、名誉毀損罪などが問われます。またストーカー法が適用される可能性も。

実際にあった訴訟・判例

女性が会社・上司・同僚を訴えたセクハラ裁判の判例

セクハラが起きると、企業内で調査をして適切な措置を取りますが、その内容によっては被害者・加害者双方による、訴訟・裁判に発展するケースも少なくありません。ここでは実際に訴訟や裁判になった事例を紹介します。

  • 被害者が訴訟を起こすケース

    セクハラ+恐喝行為で110万円支払い

    被告:上司と会社  原告:女性社員  賠償額:慰謝料110万円+未払賃金(68万1,997円)

    女性社員は食事会で上司から身体的接触をされ、「ここにいられなくしてやる」と脅しをかけられた。体調を崩して休業し「心因反応」の診断を受ける。被告人と会社に損害賠償(慰謝料300万円+弁護士費用50万円)、会社に休業期間の賃金(68万1,997円)とその遅延損害金を求める訴訟を起こした。慰謝料として110万円を認定。

    雇用主のセクハラで賠償額70万円

    被告:雇用主と会社  原告:中古自動車販売会社勤務の女性  賠償額:70万円

    中古自動車販売会社勤務の女性従業員が、雇用主からセクハラを受ける。性的言動を繰り返され、自宅に呼び入れられてベッドに押し倒された。退職を余技なくされ、加害者と会社を相手に賠償責任の訴訟を起こし、それぞれ各70万円認容。

    上司の強引なキスで賠償額599万円

    被告:上司  原告:ホテルのフロント勤務  賠償額:599万円

    被害者はホテルのフロント勤務の女性。上司の会計課長から食事に誘われ、その帰りに「モーテルに行こう」といわれる。拒否したにも関わらずキスを迫られ体調を崩す。加害者に対して賠償責任請求の訴訟を起こす。請求額599万円。

    退職を余儀なくされて賠償額194万円

    被告:会社と専務  原告:女性社員  賠償額:194万円

    女性社員は会社が女子更衣室にビデオカメラを設置していることに異議を唱える。専務から「会社を続けるかどうか考えてくるように」と圧力をかけられ、人間関係が悪化して退職。会社と専務に対して賠償責任請求をした。賠償額は194万円。

    セクハラに耐えられず退職、250万円の支払い

    被告:上司  原告:女性社員  賠償額:250万円

    事務所内で二人っきりになった際に上司から抱きつかれたり、身体を触られたりし、そのセクハラに耐えられなくなった女性社員はその後退職。被告人と会社に損害賠償を求める訴訟を起こした。慰謝料として250万円を認定。ただ、会社側はセクハラの事実について確実な証拠を有していなかったため、これを否定した。

    病院経営者の看護師へのセクハラで110万円の支払い

    被告:病院経営者  原告:看護師2名  賠償額110万円

    被告は病院内ですれ違ったときや、二人っきりになったとき、卑猥な言葉を投げかけながら体を触る行為を繰り返した。原告らは、被告の人事異動を病院側に申し出たが聞き入れられず、反対に原告らが他病院に移動させられた。慰謝料として330万円を請求したが、結局110万円の慰謝料で判決が出た。

    選挙カー内でのわいせつ行為及び恐喝で1100万円の支払い

    被告:元大阪府知事  原告:アルバイト女学生  賠償額1100万円

    被告はアルバイトとして選挙カーに乗っていた女子大生の胸を触ったり、パンツの中に手を忍ばせたり等のセクハラ行為をして訴えられた。口封じのために、「ブランド物のバッグと財布を買ってやる、誰にも言うなよ。」と告げるなど、その手口も卑劣なものだった。名誉毀損でその女子大生を相手に逆告訴をしたが、判決は覆る事なく1100万円の慰謝料で判決が出た。

    立場を使ったセクハラで50万円の支払い

    被告:校長  原告:女性教諭  賠償額:50万円認容

    被告と原告が他校の見学会及び懇親会に参加した際、帰路で原告の手を取り自分の性器を触るように要求。これに対し原告が拒否したことにより、学校内での態度が一変した。自分の思い通りにならなかったことで、人事上不利益を課すのは許されないということで、原告は被告を訴えた。ただ、事件後の人事上の処遇等は報復行為とは認められず、この裁判は和解で幕を閉じた。

    職場で繰り返されたわいせつ行為で200万円の支払い

    被告:上司  原告:女性社員  賠償額:200万円

    被告は勤務時間中に原告の女性に対し、「ホテルに行こう」「僕と不倫してみないか」等の言葉を頻繁にかけていた。次第にセクハラ行為はエスカレートしていき、後ろから両胸を触ったり、スカートの中に手を入れたり卑猥な行為を強要した。被告は最後まで罪を認めなかったが、原告の供述が信用できるものとして、被告は200万円の慰謝料を求められた。

    職場で無理やり性行為をさせて200万円の支払い

    被告:医師  原告:看護師  賠償額:200万円

    エコー技術の教育の一環として、被告は自分の男性器を触らせたり口にくわえさせたりした。原告は上司であった被告の指示を断ることができず、性行為まで強要された。日常的に繰り返されたセクハラ行為は原告を精神的に追い詰めていった。賠償額は200万円。

    原告を追い詰め退職までさせて100万円の支払い

    被告:課長  原告:女性社員  賠償額:100万円

    被告は頻繁に女性を食事に誘ったり、ホテルに誘っていた。「裸を見せてよ」等のセクハラ発言をし、原告に拒否されてもなお誘い続けていた。原告は精神的ストレスから体調を崩し、退職せざるを得なくなった。被告は職場での立場を利用し、原告の気持ちも考えず軽率な行動をとったとして100万円の慰謝料を支払うことになった。

    原告がPTSDになって945万円の支払い

    被告:上司  原告:法務教官  賠償額:945万円

    被告は原告に対し、言葉の暴力にくわえ陰茎を舐めさせる等の強制わいせつを求めた。これにより原告はPTSDになり、日常生活に支障がきたすまでになった。原告は3493万6287円の損害賠償請求を求めたが、結果的に945万円の慰謝料が請求された。

    性的暴行ののち脅迫で300万円の支払い

    被告:会長  原告:女性社員  賠償額:300万円

    全盲の被告の介添え業務として、出張についていった原告。出張先のホテルで被告からの性的暴行を受けた。被告は原告を脅迫し、原告は結果的に退職を余儀なくされた。この事件がきっかけでうつ病になり、控えていた結婚も破断した。被告が裁判に出頭しなかったため、請求原因事実を自白したものとみなすとして、300万円を損害賠償として認めた。

    弱い立場の人へのセクハラで300万円の支払い

    被告:技師  原告:患者  賠償額:300万円

    治療として病院に足を運んだ原告に対し、レントゲン技師であった被告がわいせつ行為をした。原告は身体障害者であったため、抵抗できなかった。弱い立場の人への罪は非常に重いとし、病院と技師が連帯して慰謝料300万円を支払った。

    社業の悪質な行為に賠償額148.5万円

    被告:社長と会社  原告:広告会社勤務女性  賠償額:148.5万円

    被害女性は広告会社勤務。以前からセクハラがあったが、入院中に見舞いに来た社長がキスをしたりパジャマの下に手を入れる。退院後もセクハラが続いたので退職した。社長と会社に対して賠償責任請求を行った。賠償額は148.5万円

  • 加害者が訴訟を起こすケース

    重すぎる出勤停止処分を撤回

    被告:管理職  原告:派遣社員の女性  賠償額:-円

    女性派遣社員は男性管理職がセクハラ言動をしたとして、会社に被害申告を出す。男性管理職は不明瞭な申告書を提出したため、会社は出勤停止10日と降格処分をした。これを不服として訴訟を起こす。東京地方裁判所は処分が重すぎるとした。

    弁明の機会を与えず賠償金970万円

    被告:市  原告:元市職員  賠償額:970万円

    セクハラを理由に懲戒免職された市職員は、不服として市を相手に4800万円の賠償請求の訴訟を起こした。それに対して、京都地裁では弁明の機会が充分に与えてられていなかったとして、970万円の支払いを市に命じた。

    停職処分取り消しの判決

    被告:市  原告:元公務員の男性  賠償額:-円

    元小学校の公務員が女性教諭の尻を触ったとして停職処分を受けたが、それを不服として市に対して慰謝料220万円と処分の取り消しを求めた。さいたま地裁では停職を無効としたが慰謝料の請求は退けた。

    供述に一貫性なく処分取消しの判決

    被告:市  原告:大学の准教授  賠償額:-円

    大学の准教授が女子大生2名に対してセクハラをしたとして停職処分。不服として市を相手に処分取り消しを求めた。福岡高裁宮崎支部では、女子大生の供述に一貫性がないとして、処分取り消しの判決を下した。

    報告書に不備あり処分取消し判決

    被告:市  原告:元市職員  賠償額:-円

    市職員は、生活保護受給者にセクハラを働いたとして懲戒免職処分を受け、市に処分取り消しを求めた。水戸地裁はセクハラ行為を認めた上で、報告書に懲戒処分の理由が明記されていないことをあげて処分を無効とした。

    受け取り方に相違があったと減額

    被告:市議会議員  原告:市議会議員  賠償額:40万円

    原告は「男いらずの○○さん」と被告に呼びかけられたことで、これがセクハラになると訴え290万円の慰謝料を請求。しかし、被告は単なるユーモアである言動に対し原告が勝手にセクハラだと決めつけたとし、名誉毀損だと30万円の慰謝料を請求した。結果的に慰謝料の減額が認められ、40万円の支払いで済んだ。

    解雇通告取り消し判決

    被告:会社 原告:一般社員  賠償額:-万円

    社内で不倫をし、会社の風紀を乱したとして原告は解雇通告された。これに対し原告は拒否したため、会社は解雇通知書を出し原告を解雇した。だが、この不倫が会社の風紀・秩序を乱し、その企業運営に具体的な影響を与えたと一概には言えないため、解雇が無効とされた。

    名誉毀損で訴えるも敗訴

    被告:社長  原告:建築会社勤務の女性  賠償額:200万円

    被告は打ち合わせの際、原告に抱きつき押し倒した。勤務中にも原告の体を触る等の性的嫌がらせを行い、耐えられなくなった原告は会社を退職。のちに慰謝料300万円を請求した。これに対し被告は、名誉毀損として慰謝料250万円の反訴を行なった。結果的に原告が勝利したが、300万の請求は通らず200万円の賠償額で裁判は幕を閉じた。

    原審が違法と認定した部分を一部限定し減額

    被告:男性教諭  原告:女性教諭  賠償額:30万円

    被告は仕事のポジションを原告に奪われた腹いせから、大人数の前で「彼女が生徒に厳しく当たっているのは、性的に不満があるからだ」と言ったり、新年会の席で「彼女に男さえいれば、性的に満たされるのに」等と述べた。これは嫌がらせやいじめに値するとして原告は慰謝料100万円を請求。被告側は控訴、上告し、慰謝料は30万円まで減額となった。

    不自然な供述があり敗訴

    被告:男性教諭  原告:研究補助員  賠償額:-万円

    原告は、学会の関係で泊まったホテル先で、被告にわいせつ行為を受けたとして慰謝料を求めた。しかし、原告の主張に矛盾が見られるとともに、被告の供述の方が一貫性があるとされ、この訴訟は認められなかった。反対に原告は被告に対し、名誉毀損だとして60万円の慰謝料を払うことになった。

    一時は訴えられたものの賠償金を勝ち取った

    被告:市  原告:男性社員  賠償額:80万円

    妻子持ちの男性社員は、一緒に働くうちにある一人の女性社員に惹かれ不倫関係になった。2人の関係が悪化したときに、女性側が「セクハラを受けていた」と訴えたことにより裁判が始まり、男性の社会的地位が怪しくなった。事実に反するとして名誉毀損で訴え、これが認められ結果的に80万円の慰謝料を受け取ることができた。

    証拠不十分として懲戒解雇が無効

    被告:学校  原告:男性教諭  賠償額:80万円

    同僚とドライブに行き、その際に無理やり体を触られ拒否したところ平手打ちをされた、と証言をした女性。訴えられた男性は、一時は懲戒解雇処分を受けたが、契約上の地位確認、懲戒解雇後の未払賃金を求める訴訟を起こしたところ証拠不十分として懲戒解雇が無効になった。また、精神的損害を受けたとして男性教諭が賠償金80万円を受け取った。

    懲戒免職処分は違法と判断

    被告:市  原告:市職員  賠償額:-万円

    複数人に対するセクハラ行為を理由に懲戒免職処分を受けた市職員が撤回を求め提訴した。懲戒免職処分は非常に重い罰。それまで集めていた証拠はセクハラ発言を具体的に特定して認定し得るだけのものではないとされ、懲戒免職処分は違法とされた。被処分者に対する手続保障を厳格に解した事案であると言える。

    互いに500万円を請求したが棄却

    被告:女性社員  原告:男性社員  賠償額:-万円

    女性社員はわいせつな行為をされたとして男性社員を起訴したが、これは不当訴訟だとして男性社員も反訴を起こした。裁判で供述される証言は双方全く異なっていた。メールの内容から二人は一時相当親しい間柄であったことがわかり、お互いに慰謝料500万円を請求したが、結果的にどちらの請求も棄却された。男女それぞれの物事の受け止め方の違いが今回のトラブルを招いた。

    不法行為に該当せず上告棄却

    被告:女性社員  原告:男性社員  賠償額:-万円

    女性社員は男性社員に飲み会の場で卑猥な言葉を浴びせられたと主張し、500万円の慰謝料を請求した。これに対し男性は控訴。この発言が女性に対する配慮を欠く軽率で不適切なものであっても、日常的に言われていたものではないので不法行為に該当しないとした。女性は「不倫しよう」と話を持ちかけられたと訴えたが証拠不十分として認められなかった。

賠償責任補償の保険適用事例

セクハラ訴訟の賠償金を補償する賠償保険

セクハラ行為は被害者を肉体的、精神的な苦痛を与えるだけでなく、職場の立や地位さえも奪いかねません。賠償責任をめぐり、会社の使用者責任を認める判例も多く、パワハラに備なえた賠償保険に加入する企業が増えています。

倍賞責任保険では、セクハラ被害にあった従業員が精神的苦痛を受けたとして、会社に慰謝料や損害賠償を要求してきたとき、保険で法律上の損害賠償金を補償するものです。保険会社によっては、訴訟費用や弁護士費用を支払う場合もあります。

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