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【社内リスク】訴訟が急増中!使用者責任の事例とは

パワーハラスメント実際にあった訴訟・判例

パワハラで生じる法的責任とパワハラ訴訟の判例

パワーハラスメントは被害者の人権を著しく侵害する行為です。被害内容によっては法的責任を問われることも少なくありません。ここでは実際に起きた訴訟や判例などを紹介します。

パワハラに関する法的責任とは

パワハラで問われる刑事責任や民事責任

パワーハラスメントは被害内容によって法的責任(刑事責任・民亊責任)が問われます。

下記のような法的責任があり、賠償責任の対象になります。またセクハラまがいのパワハラも、強制わいせつ罪や強姦罪などに問われます。

  • 脅迫罪
  • 傷害罪
  • 名誉毀損罪
  • 侮辱罪
  • 暴行罪
  • 強制わいせつ罪
  • 準強制わいせつ罪
  • 強姦罪
  • 準強姦罪
  • 脅迫罪

    脅迫すると禁固または罰金刑が科せられる

    被害者を脅して、恐怖を与える言動で、「会社にいられなくしてやる」といった言葉や、殴るまねをしたり、ナイフを突きつけたりする行為が相当します。脅迫罪が適用されると「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」刑が科せられます。

  • 傷害罪

    怪我や精神疾患を負わせると禁固または罰金に

    被害者に殴る蹴るなどの暴行を加えて怪我を負わせたり、パワハラが原因でうつ病などの精神疾患を発症させる行為です。医師の診断書が必要ですが、傷害罪が適用されると「15年以下の懲役、または50万円以下の罰金」刑が科せられます。

  • 名誉毀損罪

    相手の名誉を著しく傷つけると禁固または罰金に

    特定の人物に関する「事実」について、不特定多数の人に公開して社会的な評価を著しく低下させる行為です。「Aさんは不倫している」とチャットやSNSに書き込んだり、社内で噂を流すなどが相当します。名誉毀損罪が適用されると、「3年以下の懲役もしくは禁固、または50万円以下の罰金」刑が科せられます。

  • 事業主の使用者責任・債務不履行責任

    企業に課せられた未然に防ぐ責任と被害者への倍賞責任

    使用者がパワハラなどで第三者に危害を加えると、使用者は第三者に対しての賠償責任を行う「使用者責任」が問われます。

    また使用者が第三者の名誉を棄損したり、人格権を著しく侵害する恐れがあると分かった場合は、それを阻止して働きやすい環境をつくる責任があります。これを債務不履行責任といいます。

実際にあった訴訟・判例

企業に責任を追及したパワハラ訴訟と判例

パワハラが起きると加害者の責任が追及されますが、企業が防止策を怠った場合、企業側にも責任が問われます。ここでは実際にあったパワハラ責任と企業の責任を追及する判例を紹介しています。

  • 賠償額が小額ながらもパワハラと認められたケース

    ◆日本ファンド事件(東京地裁:平成22年7月27日:判例1016号35頁)
    ・パワハラからうつ病を発症

    被告:上司と会社  原告:従業員A、B、C  賠償額:合計120万円
    民法第709条の「法律上保護される利益を侵害して発生する損害」に関する事項
    民法第715条の「使用者責任」に関する事項
    労働契約法第5条の「労働環境の安全配慮義務」に関する事項M

    従業員A、B、Cは上司Dのパワハラを受けてAがうつ状態になり、合同で賠償責任請求をした。上司と会社に対して、Aには60万円の慰謝料+治療費+休業補償。Bには慰謝料40万円。Cには慰謝料10万円の支払いを命じた。

    ◆公刊物未掲載(東京地裁:平成25年1月30日)
    ・人権侵害の被害で200万円の慰謝料支払い

    被告:役員候補の社員  原告:社員  賠償額:200万円
    民法第709条の「法律上保護される利益を侵害して発生する損害」に関する事項

    役員候補の社員Bは社員Aに対してその地位を利用して人権侵害をするパワハラをしていた。社員Aは社員Bに対して300万円の慰謝料を請求。判決ではパワハラとして認められ200万円の支払いが命じられた。

    ◆ザ・ウィンザーホテルズインターナショナル事件(東京高裁:平成25年2月27日:判例1072号5頁)
    ・パワハラ原因で休職中に退職扱い

    被告:会社  原告:従業員  賠償額:150万円
    民法第1条の「公共福祉への適合」に関する事項
    民法第709条の「法律上保護される利益を侵害して発生する損害」に関する事項
    民法第710条の「精神的な損害の賠償や慰謝料」に関する事項
    民法第715条の「使用者責任」に関する事項
    労働基準法第9章の「就業規則」に関する事項

    従業員Aは上司のパワハラでうつ病になる。長期間休業中に自然退職扱いとなる。従業員の権利を主張して賃金請求の訴訟を起こす。精神的苦痛を与えたとして会社に150万円の慰謝料の支払いを命じた。

    ◆アジア航測事件(大阪地裁:平成13年11月9日:判例821号45頁)
    ・暴行の後遺症で慰謝料60万円

    被告:男性社員  原告:女性社員  賠償額:60万円
    民法第709条の「法律上保護される利益を侵害して発生する損害」に関する事項
    民法第715条の「使用者責任」に関する事項
    労働基準法第89条3号の「解雇を含む退職」に関する事項

    女性社員Aは男性社員Bに殴られて後遺症が残り、2年半の休業中に解雇された。賠償責任と解雇の無効を訴える訴訟を起こす。判決は慰謝料60万円の支払いになり賠償責任については和解が成立した。

    ◆京都セクハラ(呉服販売)事件(京都地裁:平成9年4月17日:716号49頁)
    ・改善を求めて人間関係が悪化

    被告:会社  原告:女子社員  賠償額:194万円
    民法第44条1項の「法人の不法行為能力等」に関する事項
    民法第415条の「債務不履行による損害賠償」に関する事項
    民法第709条の「法律上保護される利益を侵害して発生する損害」に関する事項
    民法第715条の「使用者責任」に関する事項

    更衣室にビデオカメラが放置されていた。女子社員Aが会社に訴えると人間関係が悪化して退職に追い込まれたので「債務不履行責任」を追及した。京都地裁は職場の環境を整えなかったして訴えを認めて194万円の支払いを命じた

    ◆神奈川中央交通(大和営業所)事件(横浜地裁:平成11年9月21日:判例771号32頁)
    ・逸脱した謹慎処分にパワハラ判例

    被告:会社  原告:バス運転手  賠償額:-円
    労働基準法第2章の「労働契約」に関する事項
    民法第709条の「法律上保護される利益を侵害して発生する損害」に関する事項

    バス運転手は接触事故を起こして1か月間草むしりを命じられたので、これを不当な扱いとして会社を相手取り慰謝料の請求をした。判決では草むしりに対して、逸脱したパワハラに相当し違法な業務命令であるとした。

パワハラに賠償責任保険は通用する?

賠償責任保険で補償される範囲が重要

パワハラ事例で補償されるのは、パワハラを含む雇用慣行に関する補償が組み込まれている損害賠償責任保険に加入している法人になります。

賠償額の多少も企業規模や体力によっては打撃の大きさが変わってくることでしょう。資産を何らかの形で留保することができている企業であれば、これまでに紹介した事例程度では打撃は小さく済むと思いますが、数ヶ月程度のランニングに必要な予算しか確保できていない企業には、賠償金が重荷になることでしょう。

そういった意味では、雇用慣行事例が補償に組み込まれている賠償責任保険が、どれだけ有用かがお分かりいただけることと思います。何かがあった時のことを考えると、備えがあるのとないのでは大違いです。

パワハラによる賠償責任・使用者責任を補償してくれる保険一覧はこちら
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  • 賠償額が高額となったパワハラと認められたケース

    ◆メイコウアドヴァンス事件(名古屋地裁:平成26年1月15日:判例1096号76頁)
    ・暴行+αで自殺に 5,400万円の慰謝料

    被告:会社と社長  原告:従業員  賠償額:5,400万円
    民法第709条の「法律上保護される利益を侵害して発生する損害」に関する事項
    会社法第350条の「第三者に加えた危害への損害賠償」に関する事項

    従業員Aは会社社長B、役員Cから暴行、退職勧告、パワハラを受けて、自殺に至った。これに対して遺族は役員を相手に慰謝料の請求を起こした。判決は会社と社長に対して5,400万円の支払いを命じた。

    ◆誠昇会北本共済病院事件(さいたま地裁判決:平成16年9月24日:判例883号38ページ)
    ・会社と上司に賠償責任500万円

    被告:病院と上司  原告:看護師  賠償額:合計1,000万円
    民法第415条の「債務不履行による損害賠償」に関する事項
    民法第416条の「損害賠償の範囲」に関する事項
    民法第709条の「法律上保護される利益を侵害して発生する損害」に関する事項

    看護師Aは上司Bから飲み会に誘わて朝まで付き合わされたり、「死ね」「殺す」と書いたメールを送りつけられて自殺。遺族が病院とBを相手に賠償責任請求をし、双方に500万円の支払いを命じた。

賠償責任補償の保険適用事例

賠償責任保険でパワハラ訴訟の賠償責任を補償する

パワハラによる被害受けると、被害者が企業を相手に賠償責任の訴訟や裁判に発展するケースが増えています。被害内容によって賠償金額が異なりますが、高額請求になると存続の危機に直面します。こうした従業員管理リスクに備えた保険が「賠償責任補償」の保険です。

パワハラで従業員から訴えられた場合、保険金として賠償責任金や弁護費用を支払うものです。また保険会社によっては、従業員が賠償責任請求を受けた場合でも保険金を支払うケースもあります。

もしもの時のために、備えを万全にしておくことが、会社経営のリスクを低減します。

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