HOME » 【社内リスク】訴訟が急増中!使用者責任の事例とは » メンタルの病気 » 実際にあった訴訟・判例【うつ病編】
【社内リスク】訴訟が急増中!使用者責任の事例とは

メンタルの病気実際にあった訴訟・判例

会社が原因で発症するメンタルな病気と判例

会社が原因でメンタルの病気を発症して休業・退職に追い込まれると、会社側に賠償責任を請求して訴訟になるケースがあります。

ここではメンタルの病気に関わる訴訟や判例について紹介しています。

会社が原因で起きたメンタルの病気に関する法的責任とは

会社で起きたメンタルな病気の企業に問われる法的責任

事業主は労働者の立場を守るために、様々な法令を遵守し、労働者の健康と安全に配慮して職場環境を働きやすく改善する義務があります。

会社が原因で発症したメンタルの病気が労災と認められると、安全(健康)配慮義務違反とみなされて賠償責任の対象になります。

  • 労働基準法:企業と労働者の間で交わす労働条件の、最低基準を定めた法律です。労働者の立場を保護するために、労働基準法の順守が企業に義務づけられています。
  • 労働安全衛生法:労働者の安全と健康を守るために、労働条件や職場環境の改善や、ストレスチェックの導入などを義務付けています。
  • 労働基準法

    従業員を雇ううえで守るべき労働条件の最低基準

    労働者の健康と生活を保護することを趣旨とした、事業主が守るべき最低限の労働条件を定めた法律です。

    事業主は従業員と対等の立場であり、話し合いのうえで労働契約などを結び、双方で遵守・履行することが義務付けられています。

    また労働条件は、労働基準法の最低基準、もしくはそれ以上の条件を提示しなければなりません。

  • 労働安全衛生法

    労働時間や労働環境を整備して従業員の安全を守る

    労働者の安全と健康を守り、働きやすい職場環境の整備を目的とした法令で、長時間労働者への面接指導など、労災を未然に防ぐ最低基準が盛り込まれています。

    平成27年の改定で、従業員のストレス度を把握する「ストレスチェックの実施が義務付けになりました。

    企業は、その結果をもとに労働時間の短縮や適切な対策を講じて、従業員が快適に働ける環境を整える必要があります。

実際にあった訴訟・判例

実際にあった従業員がうつ病訴訟を起こした判例

過重労働や業務のストレス、パワハラ、セクハラなどからうつ病を発症すると、会社を相手に賠償責任をめぐって訴訟を起こす可能性があります。

ここでは過重労働やストレスが原因でうつ病になった訴訟や判例を紹介します。

  • ストレスやパワハラによりうつ病を発症したケース

    セクハラからうつ病に労災認定

    被告:国  原告:派遣社員  賠償額:不明(労災認定)

    派遣社員Aは派遣先の上司Bから執拗に交際を求められてうつ病を発症した。Aはセクハラであるとして、国に対して訴訟を起こす。これに対し、国はセクハラによる労災であると認めた。

    激務でうつ病発症が認められる

    被告:市  原告:市職員  賠償額:不明

    市職員の児童課長Aは、業務のストレスからうつ病を発症。公務外災害として補償金の請求をしたが、却下。これに対して訴訟を起こす。公務外災害として認められ、地方公務員災害補償基金の請求が認められた。

    パワハラからのうつ病で自殺

    被告:上司と病院  原告:看護師の遺族  賠償額:不明

    看護師Aは、上司Bのパワハラで「死ね」等の脅迫メールを受けるようになり、うつ病を発症して自殺。遺族がBと病院を相手に訴訟を起こす。うつ病から自殺したのはパワハラが原因であるとして、賠償責任を認めた。

    業務でうつ病を発症し解雇を無効

    被告:会社  原告:技術職の社員  賠償額:6000万円

    技術職の従業員Aは、生産ラインの立ち上げに携わり、ストレスからうつ病を発症し、休職復帰と同時に解雇。12年後、高裁差し戻し審で解雇無効となり、賠償金を一審の倍以上になる6000万円の支払い命令を下した。

    パワハラでうつ病に賠償額60万円

    被告:上司と会社  原告:金融関係の従業員  賠償額:60万円

    金融関係の従業員Aは上司のパワハラでうつ病を発症して休職し、上司と会社を相手に訴訟。上司は従業員B、Cにもパワハラを行っていた。上司と会社に対し、60万円の賠償責任の支払いを命じた。

  • 過重労働によりうつ病を発症したケース

    過重労働のうつ病で賠償額6590万円

    被告:勤務先の老人ホーム  原告:老人ホーム勤務の遺族  賠償額:6590万円

    介護付き老人ホーム勤務のBは、長時間労働が続いてうつ病を発症して、自殺した。遺族は勤務先を相手に賠償責任を請求。うつ病を労災と認めて、勤務先に対して6590万円の支払いを命じた。

    加重労務でうつ病に和解金700万円

    被告:病院  原告:小児科医の遺族  賠償額:700万円

    小児科医の男性は長時間勤務と過労により、うつ病を発症して自殺した。遺族は病院に対して安全配置義務を怠ったとして訴訟。すでに労災認定は降りていたが、最高裁では700万の和解金の支払いを命じた。

    過重労働でうつ病に賠償額8000円

    被告:会社  原告:工場従業員の遺族  賠償額:8000万円

    工場勤務の従業員Aは長時間労働から精神的に追い詰められてうつ病を発症して自殺。遺族は会社を相手に賠償責任を請求。労災と認められ、企業に8000万の支払い命令が下された。

    過重労働でうつ病に 労災不認定を取消

    被告:労働基準監督署  原告:電気メーカー部長の遺族  賠償額:-万円

    電気メーカーの部長Aは過重労働が原因でうつ病を発症して自殺するも、労災不認定となる。遺族は労働基準監督署を相手に、不認定取り消しの訴訟を起こす。自殺と過重労働の関係を認め、不認定処分取り消しを命じた。

    過重労働のうつ病で賠償額1億6800万円

    被告:会社  原告:広告代理店社員の遺族  賠償額:1億6800万円

    広告代理店に入社したAは、長時間労働の激務をこなし、うつ病を発症して自殺した。遺族は会社に対して賠償責任を請求。長時間労働とうつ病の因果関係を認め、1億6800万円の支払いを命じた。

賠償責任補償の保険適用事例

倍賞責任保険で労災認定のメンタルの病気を補償する

従業員がうつ病を発症した場合、明らかに会社が原因であることが認められると、会社に対して賠償責任が請求されることがあります。賠償額は状況に応じて変わりますが、時には莫大な金額を請求されることも。

業務災害保険に加入していると、労災認定されたうつ病に対して保険金の支払いや補償が受けられます。対象となるのは業務を原因としたうつ病です。入院補償や賠償補償、弁護士費用補償などが受けられます。

労災支給が決定したメンタルの病気は年々増加し、平成24年には、475件/年に達しました。今後も増え続けていくと考えらます。

企業の責任として、賠償責任保険への加入は必須といえるでしょう。

メンタルの病気による賠償責任・使用者責任を補償してくれるのは?
補償内容や条件をチェックして自社に合った損保会社を診断します>>

従業員の精神的な病に備えるための賠償責任保険加入

人間関係の問題でギクシャクして新しい環境に慣れないままメンタルの病気に陥ってしまう新入社員は多くいることでしょう。今回ご紹介したケースだけでなく、実際に従業員がうつ病を発症して起きた訴訟事例は様々あります。

精神の安定を取り戻したくても、会社で働いている限り心を平常に保つことができない人が今後も増え続ける可能性は十分にあります。横暴な上司の心をえぐる行為でストレスを溜め込み身体を壊してしまうことなども考えられるため、企業は従業員への働きやすい配慮を怠らないようにしておくことが重要です。もし訴訟となってしまった場合は、企業側もさらなる損害が発生することのないよう備えておきましょう。

そのためにも賠償責任保険への加入は企業にとって不可欠です。原因が企業にあれば多額の賠償責任が請求されることもあるため、費用面の補償を受けることができる賠償責任保険で万が一の場合に対応できるようにしておきましょう。