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労災上乗せ保険の補償内容
労災イメージ

政府労災保険で補えない部分の補償を

労災者や遺族への
見舞金・慰謝料・損害賠償などを補償

労災と聞いてイメージする絵は、建築現場などにおける不慮の事故。しかしながらストレスの多い現代社会においては、不慮の事故以外にも、精神疾患や自殺など、労災の範囲は拡大しています。労災者・遺族への誠意を表すため、そして万が一の時の会社の資産を守るため、労災上乗せ保険(労働災害総合保険)の重要性はますます高まっています。

労災上乗せ保険とは?

労災上乗せ保険とは、簡単に言えば政府労災保険の民間版。政府労災保険では補えない内容について補償するのが、労災上乗せ保険です。

労災によって負傷・後遺症を負ったり、または死亡したりした場合、政府労災保険から一定の保険金が支給されます。しかしながら、多くの場合、労災者・遺族の納得できる支給額とはなりません。結果、会社が自己資産から、莫大な慰謝料、損害賠償金等を支払わなければならないケースもあります。

これら政府労災保険で不足する部分を補う目的で、現在、多くの経営者が労災上乗せ保険に加入しています。

「労災上乗せ保険」と「政府労災保険」の違い

労災上乗せ保険と政府労災保険の違いを、「給付項目」「対象事業」「対象労働者」の3点において確認してみましょう。

給付項目の違い

政府労災保険における給付項目は、療養給付、休業給付、障害給付、遺族給付、介護給付、葬祭料などです。それに対して労災上乗せ保険の給付項目は、死亡や後遺障害、休業などにおける「法定外補償保険金」です。つまり、政府労災保険の保険金をはみ出す部分について補償するのが、労災上乗せ保険になります。

対象事業の違い

政府労災保険の場合、従業員を使用する事業は、原則として強制加入となります(一部例外あり)。労災上乗せ保険は、「政府労災保険に加入している事業」が加入の対象事業となります。

対象労働者の違い

政府労災保険は、正社員、パート、アルバイト、派遣社員などの契約種類に関わらず、すべての従業員が補償の対象となります。労災上乗せ保険もまた、すべての従業員を補償の対象にすることもできますが、契約者の意向により、対象を一部除外することも可能です。

労災上乗せ保険に加入するメリットとは

労災上乗せ保険に加入することで、会社は、主に2つの大きなメリットを享受することができます。

政府労災保険では不足する部分が補填される

政府労災保険においては、遺失利益(労災に遭わなければ稼げたであろう将来の想定収入)の支給がありません。仮に労災者・遺族から遺失利益請求の民事訴訟が起こされ、かつ、その請求が裁判所で認められた場合、会社は自己資産から莫大な賠償金を支払わなければならなくなります。労災上乗せ保険は、この賠償金も含めた補償内容となっています。

政府労災保険よりも早く保険金が支払われる

政府労災保険の場合、労災認定から支給の決定、実際の支給まで、非常に長い時間がかかります。死亡や後遺障害の場合、トータルで1~2年かかることも珍しくありません。それに対して労災上乗せ保険の場合は、労災認定を待たずして保険金が支給されます。会社の迅速な対応によって、労災者や遺族に誠意を表すこともできるでしょう。

労災上乗せ保険を選ぶ際の3つのポイント

労災上乗せ保険を選ぶ際には、以下の3つの点を満たしているかを確認しておきましょう。

保険金の受取人(被保険者)が会社かどうか

保険金の受取人(被保険者)が会社であり、労災者・労災遺族でないことを確認しておきましょう。その理由には2つあります。

1.労災者・遺族への誠意

保険金が保険会社から労災者・遺族へ直接支払われるよりも、会社を通じて支払われたほうが、会社としての誠意を表現することができます。仮に保険会社から直接労災者・遺族へ保険金が支払われた場合、保険に加入しているのは会社であるにも関わらず、労災者・遺族は「会社から何も支払われない」と勘違いしてしまう可能性もあります。

2.示談金

労災者・遺族から示談金の提示があった場合、会社は労災上乗せ保険の保険金を示談金に充てることができます。保険金が直接労災者・遺族に支払われた場合には、この保険金を示談金とすることができません。

会社の従業員全員が補償対象かどうか

役員や正社員はもとより、アルバイトやパート、派遣社員、下請け業者など、すべての労働者を補償対象としているかどうか確認してください。また、従業員の入れ替わりがあったとしても自動的に保険が適用となるかどうかについても、要確認です。

使用者賠償責任が付帯できるかどうか

労災者・遺族に対する損賠賠償金、および問題解決のために支出する費用を補償する「使用者賠償責任」が付帯しているかどうか、確認しておきましょう。

各保険会社の労災上乗せ保険概要

保険会社と保険商材 主な補償内容 加入・契約方式
三井住友海上
【労働災害総合保険(法定外労災保険・使用者賠償責任保険)】

死亡に対する法定外補償保険金
後遺障害に対する法定外補償保険金
休業に対する法定外補償保険金
災害付帯費用保険金
退職者加算保険金
コンサルティング費用保険金
使用者賠償責任
基本補償+オプション補償
東京海上日動火災保険
【労働災害総合保険】

死亡補償保険金
後遺障害補償保険金
休業補償保険金
通勤災害担保特約条項
職業性疾病担保特約条項
海外危険担保特約条項
休業補償保険金支払条件変更特約条項
基本補償+オプション補償
損保ジャパン日本興亜
【労働災害総合保険】

死亡補償保険金
後遺障害補償保険金
休業補償保険金
賠償保険金(使用者賠償責任保険)
費用保険金
メンタルケアカウンセリングサービス
初期対応費用担保特約
基本補償+オプション補償
AIG損保(旧AIU保険)
【労働災害総合保険】

業務遂行・施設リスク
生産物・完成作業リスク
工事遅延損害リスク
純粋財物使用不能リスク
人格権侵害・宣伝障害リスク
工事用財物の補償
事業用動産の補償
基本補償+オプション補償
日新火災海上保険
【業務災害総合保険(労災あんしん保険)】

死亡補償保険金
後遺障害補償保険金
入院補償保険金
手術補償保険金
通院補償保険金
使用者賠償責任補償
雇用関連賠償責任補償
基本補償+オプション補償
明治安田損保
【労働災害総合保険】

死亡補償保険金
後遺障害補償保険金
休業補償保険金
災害付帯費用保険金
使用者賠償責任保険金
業務外補償費用特約
雇用関係賠償責任特約
基本補償+オプション補償
共栄火災
【労働災害総合保険】

死亡補償保険金
後遺障害補償保険金
休業補償保険金
災害付帯費用担保特約条項
退職者加算特約条項
コンサルティング費用担保特約条項
使用者賠償責任保険
基本補償+オプション補償
あいおいニッセイ同和損保
【業務災害補償保険(タフビズ)】

死亡補償保険金
後遺障害補償保険金
入院補償保険金
手術補償保険金
労災認定身体障害追加補償
使用者賠償責任補償
事業者費用補償
コンサルティング費用補償
基本補償(プラン選択)
大同火災海上保険
【労働災害総合保険】

死亡保険金
後遺障害補償保険金
休業補償保険金
争訟費用保険金
示談交渉費用保険金
協力費用保険金
権利保全費用保険金
基本補償+オプション補償

保険会社各社の労災に関する保険概要

三井住友海上【労働災害総合保険(法定外労災保険・使用者賠償責任保険)】

■過労死や過労自殺についてもカバーする労災上乗せ保険

三井住友海上の労働災害総合保険(法定外労災保険・使用者賠償責任保険)は、政府労災保険の労災認定(保険給付)がなされた場合において、上乗せして補償する労災上乗せ保険です。

補償範囲としては、労災の法定外補償だけでなく、使用者賠償責任もカバーされており、政府労災保険ではカバーされない損害賠償責任による慰謝料も補償範囲に含まれてる為、万が一の際の安心感も高まります。

また、特約を付加しておけば、労災認定前であっても、政府労災保険を請求し、それが受理された時点で保険金が支払われるので、時間がかかりやすい労災認定を待つことなく、必要な費用を保険によってまかなえる点も特徴です。

その他、過労死や過労自殺についても、労災認定がなされる場合は補償対象となります。

東京海上日動火災保険【労働災害総合保険】

■ニーズに合わせて補償内容や期間を設定できる保険

東京海上日動火災保険の労働災害総合保険は、アルバイトや臨時雇いを含む従業員が、政府労災保険の給付対象となる労働災害を被った際に、上乗せして補償してくれる労災上乗せ保険です。

基本補償として、法定外補償保険と使用者賠償責任の2つがセットになっており、いずれか一方だけを契約することも可能です。その他、オプションを自由に付帯することで、通勤中や海外出張中の災害、従業員の休業に伴う損害賠償責任なども補償されます。

また、基本的に保険期間は1年間ですが、土木・建設事業といった有期事業に関しては、工事期間に合わせて保険期間を設定することもできるので、必要な期間やニーズに合わせて補償を用意しておける点も魅力的なポイントでしょう。

損保ジャパン日本興亜【労働災害総合保険】

■手厚い補償をさらにオプションで補強可能

損保ジャパン日本興亜の労働災害総合保険は、法定外補償と使用者賠償責任保険がセットになった、政府労災上乗せ保険です。また、法定外補償と使用者賠償責任保険のどちらか一方だけを選択して契約することもできます。

険金給付対象として認定された労働災害ですが、役員や個人事業主、海外駐在員、さらには下請業者の従業員らにおける事故に関しても、特約を付加することでカバーすることが可能です。

また、企業のニーズに合わせて、パートタイマーやアルバイト、臨時雇い従業員を補償対象から除外して契約することもでき、目的に合わせた補償設計を行えます。

AIG損保(旧AIU保険)【労働災害総合保険】

■従業員のメンタルケアもできる労災上乗せ保険

AIG損保の労働災害総合保険は、法定外補償保険(労災上乗せ保険)と使用者賠償責任保険が組み合わされた、従業員の労働災害に備える保険です。

業務に関連する事故や災害によって、従業員が後遺症を抱えたり死亡したりした場合に、保険金が支払われるだけでなく、従業員が4日以上休業して賃金の支払いを受けられなくなった場合に、通算1,092日を限度として休業補償保険金が支払われます。

また、保険を契約した企業の従業員全員に対して、心理カウンセラーによるカウンセリングを無料で受けられる、メンタルケアカウンセリングサービスを利用することができるので、精神的な疾病に対するリスク管理としても魅力的です。

日新火災海上保険【業務災害総合保険(労災あんしん保険)】

■うつ病による自殺や過労による脳・心疾患もカバー

日新火災海上保険の業務災害総合保険(労災あんしん保険)は、万が一の労災事故によって、高額の賠償責任が発生した場合だけでなく、従業員が職場での人間関係のトラブルによって精神疾患を患った場合や、過労によって脳・心疾患を発症した場合などに関しても、総合的にカバーしてくれる保険です。

また、雇用関連賠償責任補償特約条項をセットしておけば、パワハラや不当解雇などによって、従業員や元従業員から訴えられ、損害賠償責任を負担しなければならなくなった場合も補償されるので、リスク管理として価値の高い保険といえるでしょう。

その他、従業員へのストレスチェックサービスなどを無料で受けることも可能です。

明治安田損保【労働災害総合保険】

■様々なニーズに合わせて必要な補償を自由に設計

明治安田損保の労働災害総合保険は、労働災害に対して支払うべき補償金や賠償金を、法定外補償保険(労災上乗せ保険)と使用者賠償責任保険金によって包括的に補償します。

また、企業の業種やニーズに合わせてより詳細かつ手厚い補償を受けられるよう、様々な特約が用意されており、業務外の事由による事故や、セクシャルハラスメントなどに起因する損害賠償責任などにも備えることが可能です。

その他、過去の損害率や、従業員が250名を超える企業、事業所や工場の数といった、様々な条件ごとに割引制度も用意されており、無駄のない契約ができる点も見逃せません。

共栄火災【労働災害総合保険】

■万一の高額賠償にも備えられる労災上乗せ保険

共栄火災の労働災害総合保険は、労災だけでは不足する分を補償する法定外補償保険と、さらに高額な賠償責任を補償する使用者賠償責任保険金によって、企業の高額賠償リスクを総合的にカバーする保険です。

従業員数が100名以上の企業や、5千万円超の請負金額の建設業など、条件によって割引制度を利用できる点も重要でしょう。

また、使用者賠償責任保険金に関しては、「1名につき」・「1災害につき」のそれぞれについて支払限度額を決められるので、想定されるリスクに対して無駄のない補償内容を設計できます。

あいおいニッセイ同和損保【業務災害補償保険(タフビズ)】

■3つのプランからニーズに応じて補償を選択

あいおいニッセイ同和損保の業務災害補償保険(タフビズ)は、業務に由来するケガなどを、政府労災認定とは別に基本の補償でカバーする労災上乗せ保険です。

基本補償の範囲は、「エコノミー」・「ベーシック」・「ワイド」の3プランから選択でき、ベーシックプランを選択すれば使用者賠償責任補償や事業者費用補償などが追加され、ワイドプランではさらにメンタルヘルスやハラスメントに関するリスクもカバーできます。

その他、オプション補償によってさらに綿密なリスク管理を行うことも可能です。

また、メンタルヘルスサポートや経営セカンドオピニオン、ストレスチェックサポートといったサービスを受けられる点も特徴です。

大同火災海上保険【労働災害総合保険】

■労災保険の不足分や労災保険ではカバーしきれない範囲を補償

大同火災海上保険の労働災害総合保険は、政府労災保険だけでは不足しがちな、従業員の労働災害を補償する労災上乗せ保険です。また、それだけでは償いきれない賠償責任がある場合についても、使用者賠償責任保険によってまかなえるので、高額な賠償リスクにも備えられます。

加えて色々と特約が用意されており、通勤途中の災害について補償を充実させたり、逆に退勤途中の災害については不担保にできたりと、企業のニーズに合わせて契約内容を設計することが可能です。

その他、会社に災害補償規定がない場合でも、補償内容や補償筋について担当者と打ち合わせた上で、適切な保険契約を結んでおくことで、上積み補償保険金が支払われます。

政府労災保険だけで会社を守れるかどうか

労災というのは、ある日突然やってくるものです。厚生労働省の発表で平成28年度の死傷者数は117,910人という報告があります。[注1]規則を守ることである程度のケガや事故、病気の予防は可能ですが、不意にくる労災には予め準備をしておくことが重要です。

労災被害者は会社の経営者と苦楽を共にし、同じ目標に向かって労働に勤しんできた大切な人材。たとえ労災以後に働けない状態になったとしても、被害者やその家族に対して最大限の誠意と敬意を表すべきでしょう。

  • 01

    労災の位置付けは?

    労災というのは範囲が幅広く、一般的に想像される建築現場での不慮の事故やケガ以外にも、ストレス社会の現代では精神疾患や自殺などその範囲は拡大を続けています。労災保険では政府から一定の保険金が支給されますが、支給額が労災者や遺族にとって納得できる金額とは限りません。極端な話だと一件の労災だけで、会社の経営が傾くほど影響を受けることもあるのです。そうなると、労災者と経営者の問題だけではなくなってきます。経営者は従業員の人件費を捻出しながらも、会社の資産を健全に守っていかなければなりません。不要な出費はできるだけ抑えたいという気持ちと、政府労災保険だけで従業員や会社を守れるのかというバランスを見極める必要があります。

    [注1]厚生労働省/労働基準局/安全衛生部安全課「平成28年 労働災害発生状況」/2017年5月19日

  • 02

    労働災害総合保険とは?

    政府労災保険だけで十分にカバーするのが難しい場合におすすめなのが、労災上乗せ保険(労働災害総合保険)です。2つは給付される項目が違ったり、対象労働者が違ったりと、保険会社やプラン、契約者によって内容は変わってきます。これまでに何も起こらなかった会社でも、今日か明日にでも起こり得るのが労災です。いざという時に備えて事前の準備をしておくことで、会社を守ることにつながります。