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損害賠償責任保険の補償範囲
落石

落石によって他者に被害を与えた場合の賠償責任

会社が管理する土地から落石が生じ、他者の身体・財物に損害を与えた場合、会社は被害者に損害賠償を行わなければならないことがあります。ここでは、具体的な落石事故の事例や、会社が負うべき責任について具体的に解説します。

落石被害の影響・リスクとは

管理する山林等からの落石による事故

自社が管理する山林等から落石が生じ、他者に被害を与えた場合、状況に応じ会社に損害賠償責任が課せられることがあります。また、自社が土木工事中などに落石が生じ従業員に被害を与えた場合、従業員に対する賠償責任が課せられることもあります。 落石リスクを把握した場合、会社は速やかに事故予防の対策を打たなければなりません。落石リスクがあることを知りながら「落石注意」との看板を設置したのみでは、会社に賠償責任が生じます。 また、落石リスクのある事業を営む会社は、万が一のときに備え、落石事故を補償する保険に加入しておくべきでしょう。

落石被害の影響を受けた事例

落石によって他者、および自社従業員に対して被害を与えた事例を確認します。

高知国道56号落石事故

貨物自動車が国道56号(高知県)を走行中、国道右側上方の斜面が崩壊して落石が発生。助手席に同乗していた被害者に石が直撃し、被害者が死亡した事案です。裁判所は、斜面の管理主体である国・高知県に対し、瑕疵を認めて損害賠償を命じました。

作業中の落石事故

平成30年12月、滋賀県内にある法面掘削工事現場にて、作業中の職長の頭部に落石が衝突。その衝撃で職長は30mの高さから転落し、胸を強打して死亡しました。 この事案において彦根労働基準監督署は、同社および死亡した職長を、労働安全衛生法第21条(事業者の講ずべき措置等)違反で大津地検に書類送検しています。

彦根労働基準監督署は送検理由について、同社が職長に命綱を付けさせていなかった疑いを指摘。死亡した職長についても、現場責任者でありながら安全対策を怠ったと判断しました。 この事例において、その後の検察の動きや裁判等に関する情報は見つかりません。ただし、労働基準監督署が動いた事例として、落石リスクのある事業者は肝に銘じておくべき事例と認識すべきでしょう。

落石被害の企業責任とは

落石事故における会社の法的責任について

会社に何らかの瑕疵や過失が認められた落石事故の場合、民事責任や刑事責任に問われる可能性があります。

  • 01

    民事責任

    管理上の問題が関連した落石事故で他者に被害を与えた場合、管理主体が自治体であれ民間企業であれ「高知国道56号落石事故」の判例が指標となり、管理主体に対して損害賠償責任が課せられる可能性があります。

  • 02

    労働安全衛生法第21条(事業者の講ずべき措置等)違反

    落石が原因で作業中の従業員に被害が生じた場合、安全対策の状態によっては、労働安全衛生法第21条(事業者の講ずべき措置等)違反に問われる可能性があります。 なお労働安全衛生法は刑法特別法のため、違反が確定した場合、懲役刑または罰金刑が課されます。

落石被害の影響をカバーできる賠償責任保険の範囲とは

落石を起こした現場が管理主体の「施設」と認められた場合、施設賠償責任保険によって被害者への損害賠償を補償される可能性があります。落石リスクのある事業を営む経営者は、今一度加入中の保険を確認し、施設賠償責任が含まれているかどうかを確認しましょう。

なお、落石による被害事例の大半は、国や自治体に賠償責任を問うもの。そのため多くの自治体は、道路上の落石被害等を補償する「道路賠償責任保険」に加入しています。