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海外PL保険の補償範囲
海外PL保険イメージ

海外における莫大な損害賠償・訴訟費用を補償

海外で自社製品による事故が発生した場合のリスクに備える

多くの諸外国は、日本とは比較にならないほどの訴訟国家です。逆に言えば、日本が訴訟の少なすぎる国なのかも知れません。製造した製品によって何らかの損害が発生した場合、その賠償額や訴訟費用も、日本とは比べ物にならないほど高額。海外と取引のあるすべての業種は、万が一の時に自社の経営を守るためにも、海外PL保険に加入をしておくべきでしょう。

海外PL保険とは

海外PL保険とは、簡単に言えばPL保険の海外版です。日本で製造した製品が原因となり海外で何からの事故が発生し、人や人の財物に損害を与えた場合、その賠償金を補償するのが海外PL保険です。賠償命令に至るまでの弁護士費用や調査費用についても、海外PL保険は補償しています。

日本国内だけに有効なPL保険については、その知名度も高く、また加入している企業も多いことでしょう。その感覚をもとにして、「海外PL保険までは必要ない」と判断している経営者もいるかも知れません。

しかしながら、海外の訴訟事情は、日本とは全く異なります。事情の違いをよく理解したうえで、本当に貴社に海外PL保険が不要かどうか、改めてよく考えてみましょう。

海外PL保険の必要性

海外PL保険の必要性について、3つに分けて考えてみましょう。

■日本は輸出大国

日本は、言うまでもなく世界有数の輸出大国です。サービス業などの一部企業を除けば、程度にこそ差はあれ、上場企業の大半が海外と何らかの取引を行なっています。海外の企業においても海外PL保険は必要な保険ですが、ことに日本の企業においては、経済構造の点に照らしただけでも、多くの企業が海外PL保険を必要とすることは、言うまでもありません。

■欧米の損害賠償額は高額

かつてアメリカで、テイクアウト用のコーヒーをこぼしてヤケドを負った被害者に対し、これを販売した某ファーストフード店は3億円の賠償を命じられたことがありました。店舗側がコーヒーの適切な温度管理ができていなかった、というのが判決理由です。日本人が同じことをやらかした場合には、ほとんどの人が「コーヒーをこぼした自分の責任」と考え、訴訟という発想すら出てこないでしょう。

この例はサービス業に課された損害賠償ということになりますが、欧米ではサービス業に限らず、あらゆる業種において、損害賠償の訴訟が頻発しています。かつ、損害賠償が認められた場合、日本の常識では考えられないほどの高額となります。

■途上国では不測のトラブルもありうる

ある某途上国において、実際にあった訴訟事例です。日本メーカーの自動車を運転していた現地の人が、他人をはねてしまい大けがを負わせたことがありました。その際、車を運転していた人は「自動車に不備があったため人をはねた」として、日本メーカーを相手に訴訟を起こしました。

その後の調査で、該当する自動車は密輸車であったこと、改造を加えられていたことが判明し、訴訟では日本メーカーが勝訴。しかしながら、訴訟にかかった莫大な弁護士費用や調査費用は、日本メーカーが負担しています。

以上3点の理由からもお分かりの通り、万が一の事態に備えて、海外と取引のあるすべての企業は、海外PL保険に加入しておくべきでしょう。とりわけ、機器や家庭用品、食料品等を製造・輸出する業種においては、必須の保険と言うことができます。

海外PL保険の補償内容

日本国内で製造・販売した製品が原因で、海外において何らかの事故が発生した場合、その事故における損害賠償や各種費用を補償しています。製品の対象としては、「産業用製品、原材料・部品、家庭用品、食料品等諸外国に輸出されるさまざまな製品」となります。具体的な補償内容は、次の4つに分類されます。

■損害賠償金

事故による被害者に損害賠償金を支払った場合、その金額について補償されます。海外PL法のメインとなる補償です。

なお、保険加入前にすでに海外に輸出した製品等については、保険加入時に保険会社に対象商品として申告し、かつ保険会社が認めた場合において、損害賠償の補償対象となります。

■緊急措置費用

事故の発生を知った際、その事故の拡大を防ぐための処置として各種の費用を要した場合には、その費用について補償します。これらの処置の結果、企業が損害賠償責任を免れたとしても、その処置にかかった費用は補償されます。

■訴訟費用

海外で製品の欠陥等による事故が生じた場合、日本よりも非常に高い確率で裁判にかけられます。一度裁判にかけられると、たとえ勝っても負けても、日本とは比較にならないほどの多額の弁護士費用・訴訟費用がかかります。具体的な事例を見てみましょう。

かつて日本で製造した自動車の部品に欠陥があり、その欠陥が原因で自動車事故が発生したことがありました。この際、当該の日本企業は3億7000万円の損害賠償を命じられたのですが、それに加えて、弁護士費用や訴訟費用、調査費用などがトータルで4000万円かかりました。この場合、仮に裁判に勝って損害賠償責任を免れたとしても、訴訟にかかる費用の4000万円を避けることはできません。

海外PL保険においては、損害賠償金に加え、高額な訴訟費用も補償しています。

■解決協力費用

事故が発生したのち、訴訟等の拡大を防ぐために保険会社に協力して活動した際、その活動に要した費用を補償しています。

なお、次の場合における事故については、海外PL保険の補償対象となならないので注意してください。

  • ・地震・噴火・津波に起因する損害賠償責任
  • ・契約・約定に基づいて被保険者が引き受けた損害賠償責任
  • ・製品自体の損壊に対する損害賠償責任
  • ・汚染物質の漏出・流出等に起因する損害賠償責任
  • ・アスベストや核物質の危険な特性に起因する損害賠償責任
  • ・戦争・革命・暴動等に起因する損害賠償責任、他

モノを生産するすべての企業が検討すべき保険

海外PL保険は、海外の賠償リスクから会社を守るための保険です。

もしも海外で製造・販売を行なっている場合は、賠償リスクを抑えるため、海外PL保険への加入は不可欠です。しかし、海外との取引がない会社だからと言って、海外PL保険と無縁と考えるのは早計です。あなたの会社の生産物が他社で部品として使われ、その完成物が海外へとわたっているケースがないとは限らないからです。その完成物において海外で事故が発生した場合、ともすると部品を製造したあなたの会社にも損害賠償責任が問われる、というケースも十分に想定できます。そういう意味で、海外PL保険は「モノを生産するすべての企業が検討するべき保険」といっても決して大げさではないのです。

法律や文化が異なるからこそ、損害賠償に備えるべき

日本と海外では、法律・価値観・文化が大きく異なります。どのようなケースでトラブルに発展するのか、いくら賠償金を請求されるのか、日本人だけで全てのリスクを想定するのは難しいでしょう。特に、欧米諸国では消費者の権利意識が高く、PL(生産物)の事故に厳しいため、訴訟も増加傾向にあります。

企業を取り巻くリスクが複雑化するなか、リスクへの対応力はますます深刻な課題となっています。早い段階でPLに関する法律が施行された欧米諸国ではPL法適用のための一連の流れが確立されており、消費者もPL事故に高い関心を寄せています。特にアメリカの弁護士は成功報酬制で訴訟に持ち込みやすいこともあり、PL訴訟が年々増加しています。

欧米諸国に続いてアジア諸国もPLに関する法律が整備されていき、中国、台湾、韓国、タイなどではPLに関する法律が成立し、消費者や官庁も厳しい眼でPLを評価するようになりつつあります。このような環境下で海外事業活動を行なうにあたって、PLに対する多面的な対応の一環として海外PL保険を導入し、万が一の倍に備えておくべきでしょう。