日本国内で製造・販売した製品が原因で、海外において何らかの事故が発生した場合、その事故における損害賠償や各種費用を補償しています。製品の対象としては、「産業用製品、原材料・部品、家庭用品、食料品等諸外国に輸出されるさまざまな製品」となります。具体的な補償内容は、次の4つに分類されます。
■損害賠償金
事故による被害者に損害賠償金を支払った場合、その金額について補償されます。海外PL法のメインとなる補償です。
なお、保険加入前にすでに海外に輸出した製品等については、保険加入時に保険会社に対象商品として申告し、かつ保険会社が認めた場合において、損害賠償の補償対象となります。
■緊急措置費用
事故の発生を知った際、その事故の拡大を防ぐための処置として各種の費用を要した場合には、その費用について補償します。これらの処置の結果、企業が損害賠償責任を免れたとしても、その処置にかかった費用は補償されます。
■訴訟費用
海外で製品の欠陥等による事故が生じた場合、日本よりも非常に高い確率で裁判にかけられます。一度裁判にかけられると、たとえ勝っても負けても、日本とは比較にならないほどの多額の弁護士費用・訴訟費用がかかります。具体的な事例を見てみましょう。
かつて日本で製造した自動車の部品に欠陥があり、その欠陥が原因で自動車事故が発生したことがありました。この際、当該の日本企業は3億7000万円の損害賠償を命じられたのですが、それに加えて、弁護士費用や訴訟費用、調査費用などがトータルで4000万円かかりました。この場合、仮に裁判に勝って損害賠償責任を免れたとしても、訴訟にかかる費用の4000万円を避けることはできません。
海外PL保険においては、損害賠償金に加え、高額な訴訟費用も補償しています。
■解決協力費用
事故が発生したのち、訴訟等の拡大を防ぐために保険会社に協力して活動した際、その活動に要した費用を補償しています。
なお、次の場合における事故については、海外PL保険の補償対象となならないので注意してください。
- ・地震・噴火・津波に起因する損害賠償責任
- ・契約・約定に基づいて被保険者が引き受けた損害賠償責任
- ・製品自体の損壊に対する損害賠償責任
- ・汚染物質の漏出・流出等に起因する損害賠償責任
- ・アスベストや核物質の危険な特性に起因する損害賠償責任
- ・戦争・革命・暴動等に起因する損害賠償責任、他