経営者のための事業リスクとその事例 » 経営の幅が拡がる、賠償責任保険の補償範囲 » 従業員の横領・盗難に対する賠償責任保険の補償範囲
損害賠償責任保険の補償範囲
横領

従業員の横領・盗難リスクに対する会社の対応・責任

残念な話ではありますが、従業員が自社の小口現金を横領したり、自らの口座に会社のお金を送金したり、商品を窃盗したりなどの社内犯罪が後を絶ちません。ここでは、従業員の横領の具体的事例や、従業員の犯罪リスクに対する会社の対応・責任等について解説します。

従業員の横領・盗難とは

自社の従業員がお金や商品を横領・窃盗すること

数年に一度くらいの頻度で、従業員が自社のお金を億単位で横領した、などの事件が報道されます。経営者にとって、これほど残念な犯罪はないことでしょう。

仮に製造業の場合、売上高営業利益率は約4%。単純計算すれば、従業員に1億円を横領された際に会社が失う売上額は、実に25億円にものぼります。 従業員を信じる気持ちは大事ですが、万が一の従業員リスクに備えることは、他の従業員や地域社会に向けた会社の責任とも言えるでしょう。

従業員の横領・盗難の事例

従業員の横領・盗難がもたらした代表的な事例

従業員の横領・盗難については、世の中を騒がせた事件が多く発生しています。 以下、極めて考えがたい事例を2つご紹介します。いずれの事例も、発覚当時はメディアで大きく報道されたため、記憶にある方も多いことでしょう。

岸運輸事件

経理担当の女が6億円横領し贅沢三昧

兵庫県伊丹市の運送会社にて経理を担当していた女が、会社の金を横領して贅沢三昧な生活をしていました。横領額は1億円とも6億円とも言われています。県警に起訴されたのち、女は供述をコロコロ変えるなど反省している様子はなし。神戸地裁は女に懲役6年の実刑判決を言い渡しましたが、横領された金が会社に戻ることはなかったとされています。 なお、最後まで横領に気付かなかった当時の社長は、資金繰りに疲弊した挙句、自身の保険金を会社運営に充てるよう遺書を女宛てに残し、自殺しました。

ネッツエスアイ東洋株式会社事件

大手企業の経理部長が18億円横領。大半は競馬で浪費

国内大手企業の傘下にある子会社の経理部長が、2005年から2014年にわたり、小切手の二重振出や銀行残高証明の偽造等を繰り返し、総額18億円にものぼる横領を働きました(逮捕容疑は2億7千万円)。 同社は経理部長を懲戒解雇し刑事告訴。横浜地裁にて懲役9年の実刑判決を言い渡されました。 なお元・経理部長は、横領した金の大半を競馬に使っていたと供述しています。

従業員の横領・盗難の企業責任とは

企業を健全に維持していくための社会的責任

従業員による横領や盗難事例において、企業は被害者の立場となります。よって基本的には、事件に対する企業の法的責任は問われません。 ただし、企業存続による地域社会への貢献、従業員への待遇維持などのために、会社には内部統制の強化等の社会的責任が生じることとなるでしょう。

  • 01

    入出金の仕組み作り

    従業員の現金横領を防ぐためには、一人で入出金ができない仕組みを作ることが大事です。通帳と印鑑を別々の従業員が管理したり、送金処理をする担当者とワンタイムパスワードを管理する担当者を分けたり、などです。 もとより、仕組み作り以前に、入出金の状況を定期的に上司等がチェックすることは大前提となります。

  • 02

    社内監視カメラ

    従業員による商品の盗難防止のためには、社内に監視カメラを設置することが有効です。盗難抑止用として「見える場所」に数ヵ所、被害発生後に犯人を特定するため「見えない場所」に数ヵ所設置すると良いでしょう。後者の例として、百貨店の売り場などでは、マネキンの目に監視カメラが埋入されていることがあります。

  • 03

    大家に対する原状回復義務

    たとえ失火責任法が適用されたとしても、テナントが賃借物件である以上、借主は物件の持ち主たる大家に対し、原状回復義務を負うことになります。 原状回復義務とは、賃借人が入居する前と同じ姿に戻す義務です。火災によって生じた建物への損害を、すべて自費(または保険金)で修繕しなければなりません。

なお、会社の被害額が経営に影響を及ぼすほど甚大な場合、会社の経営者は監督責任の不備を問われ、株主代表訴訟を起こされる可能性があります。被害における監督責任の有無については、個々の事例において裁判所が判断することとなります。

従業員の横領・盗難が起きたらカバーできる賠償責任保険の範囲とは

損保ジャパン日本興亜は、従業員による横領・盗難等によって企業に生じた損害について、これを補償する保険商品を用意しています。 補償の具体的な範囲は、パートや臨時雇用従業員を含めた一切の従業員が犯した企業の損害。補償される被害の範囲には、横領や盗難のほかにも、詐欺や背任行為などによって生じた損害も含まれています。保険料や条件に応じ、支払い限度額の上限は10億円です。 なお加入の対象は、上場企業やその子会社など、一定の社会的信用力のある企業に限定されます。