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損害賠償責任保険の補償範囲

取引信用保険の補償範囲

回収不能となった売掛金の
一部を補償する保険

取引先が倒産するなどし、売掛金の回収が困難になった場合、その損害額の一部を補償するのが取引信用保険。自社の経営は健全であったとしても、取引先の破たんによって連鎖倒産を余儀なくされる事例もあることから、経営者は万が一のために取引信用保険への加入を検討しておいたほうが良いでしょ。

取引信用保険とは

取引信用保険とは、取引先の倒産等の事情によって債務が弁済されなくなったとき、その損害額の一部について保険会社が補償する保険です。具体的には、取引先に「法的整理事由が発生したとき」と「履行遅延が発生したとき」に保険金が支払われます。

■「法的整理事由が発生したとき」とは
取引先における民事再生の手続き、または、会社更生手続きの開始を申し立て等が原因で、債務が履行されない状況。
■「履行遅延が発生したとき」とは
債務の弁済期日を一定期間過ぎても取引先が債務を履行せず、かつ、保険会社が当該取引先における債務履行が不可能と判断したとき。
[1]

簡単に言えば、いわゆる「貸し倒れ」が生じたときに、その損害を補償するのが取引信用保険です。

ただし取引信用保険は、「貸し倒れ」によって生じた損害の全額を保険金額(支払限度額)とするものではありません。損害額に「縮小支払割合」という比率を乗じた金額が、保険金額(支払限度額)となります。一般に「縮小支払割合」は90%程度です。

なお、取引信用保険に加入している事実は、取引先には伝わりません(事故発生後に伝わります)。取引先に万が一のことが起こらない限り、今までの信頼関係を維持したまま取引を続けることが可能です。

取引信用保険の基本的な補償内容・補償範囲

取引信用保険の保障内容や補償範囲については、各保険会社によって異なります。

■取引先ごとのリスクを保障するタイプ
取引先ごとの貸し倒れリスクを保障するタイプの保険。取引先の信用力によっては、支払限度額がゼロになるケースもあります。
■複数の取引先に共通するセグメントのみを保障するタイプ
複数の取引先の「商品ごと」「事業部ごと」など、客観的な基準によってセグメント化された範囲を保障するタイプの保険。このタイプの保険の場合、通常は取引先を個別に指定することができません。

なお、以下の例においては保障の対象とならない場合があるのでご注意ください。

  • ・国・地方公共団体との取引
  • ・子会社・関連会社との取引
  • ・輸出取引(別途契約で付帯可能)
  • ・委託販売・割賦販売などの取引
  • ・決済期間が180日を超過する取引[2]

取引信用保険に加入するメリット

■キャッシュフローが安定する

万が一、貸し倒れが発生したとしても、損害の一部を保険金で受け取ることができるため、現金の枯渇リスクを防いでキャッシュフローが安定します。

■信用力の高い新規取引先の開拓ができる
取引先の信用力については、保険会社が調査をします。金融機関としての専門的な信用調査を行なうため、信用力の高い取引先の新規開拓を積極的に行なうことができます。
■企業としての信用力の向上
貸し倒れによる連鎖倒産などのリスクが軽減されるため、企業としての対外的信用力の向上が期待できます。金融機関からの融資においても、審査が有利になるでしょう。
■取引先の与信管理の充実
自社における取引先の与信管理に加え、保険会社が専門的に与信管理を行ないます。取引先の信用状況を、今まで以上に詳しく知ることができるようになります。
[1][2]

経営セーフティー共済との違い

万が一の取引先の倒産に備えた制度に、経営セーフティー共済があります。経営セーフティー共済とは、独立行政法人「中小企業基盤整備機構(中小機構)」が運営している共済で、中小企業庁が率先して加入を勧めている制度です。すでに加入済みの経営者も多くいるでしょう。

「ウチの会社は経営セーフティー共済に入っているから、取引信用保険に入らなくても大丈夫」と考える経営者もいると思いますが、両者の制度はまったく異なるものなので、しっかりと区別して理解しておくことが必要です。

■取引信用保険と経営セーフティー共済との違い
取引信用保険とは、すでに説明した通り、取引先に万が一のことが起こった場合に、金銭的損害の一部を保険金で補償してくれるシステム。保険会社から支払われる保険金は、当然ながら返済する必要はありません。 それに対して経営セーフティー共済とは、取引先に万が一のことが起こった場合に、無担保・無保証人で最高8000万円までの融資を受けられるシステム。あくまでも融資なので、返済の必要があります。

【参考】経営セーフティー共済のポイント

参考までに、経営セーフティー共済のポイントを見ておきましょう。

1.無担保・無保証人で融資を受けることができる

「回収ができなくなった損害額の総額」と「納付済の掛金総額の10倍」の、いずれか少ないほうの金額まで融資を受けることができます。融資限度額は8000万円です。

2.貸し倒れが確定した後、すぐに融資を受けることができる

取引先が倒産して貸し倒れが発生した場合、取引の事実が確認できればすぐに融資を受けることができます。

3.掛金を損金に算入できる

法人の場合は掛金を損金に、また、個人事業主の場合は掛金を経費に算入することができるため、一定の節税効果をもたらします。

4.解約した場合には手当金が支払われる

自己都合の解約であったとしても、12ヶ月以上にわたって加入していた場合には、掛け金総額の8割以上が戻ります。40ヶ月以上にわたって加入していた場合には、掛け金の全額が戻ります。ただし、加入期間が12ヶ月未満の場合には掛け捨てとなります。

[3]

経営セーフティー共済と取引信用保険の併用が理想

取引先の万が一の事故に備え、また節税対策の意味でも、経営セーフティー共済に加入している方は少なくありません。支払った掛金は経費扱いになるため節税効果が高く、節税対策としても利用している方もいるようです。

しかし、経営セーフティー共済はあくまでも融資の一種。無担保・無保証人で最高8000万円までの融資を受けられ、連鎖倒産のリスクを回避することはできるものの、将来的には返済が必要となります。実質的には、貸し倒れの損害を自社で負担したことに変わりありません。とは言っても、経営セーフティー共済は掛け捨てではなく、国が全額出資している独立行政法人が運営している制度。掛け金を12ヶ月以上納付していれば、任意解約時には掛金総額から80%以上の手当金が受け取れるので、デメリットは少ないと言えます。

  • 01

    併せて検討したい保険もあり

    自社の経営状態や利益をより強固に守るためにも、経営セーフティー共済と併せて加入していただきたいのが、取引信用保険です。

    取引信用保険は、万が一の時に金銭的損害の一部を補償してくれる保険商品。連鎖倒産のリスクを回避できることはもちろん、返済義務はないため、貸し倒れの損害を自社で負担せずに済みます。

    取引信用保険に加入していることは、取引先に伝わることはありません。何かあった時に損害というリスクから自社や従業員を守るための盾として、ぜひ利用してください。

  • 02

    プランも様々、良く検討したいところ

    取引信用保険を商品として取り扱っている保険会社は多数あり、どこを選べば良いか迷う方もいらっしゃるでしょう。保険会社とひとくちに言っても、1つの商品であらゆるリスクに対応できる保険プランや、補償内容を自由に選択して組み合わせる保険プランを用意しているところがあります。

    まずは会社の規模や業種、対策しておきたいリスクを明確にしてから保険会社をピックアップするのがお勧めです。その中から、想定されるリスクをすべてカバーできる保険会社で見積りを依頼してみてはいかがでしょうか。

参考文献

[1]三井住友海上公式サイト「取引信用保険」

URL:http://iroirohoken.net/torihikishinyou/

[2]明治安田損保「取引信用保険」デジタルパンフレット

URL:http://www.meijiyasuda-sonpo.co.jp/pdf/pamphlet/pamphlet_trust.pdf

[3]中小企業基盤整備機構公式サイト「経営セーフティ共済とは - 制度の概要」

URL:http://www.smrj.go.jp/kyosai/tkyosai/about/features/index.html