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経営者が知っておくべき、事業リスクの事例
取引先・株主からの訴訟(イメージ)
Risk 07

取引先・株主
からの訴訟

取引先や株主から訴訟を起こされる事案とは

業務上欠かせない取引先や、会社経営を応援する立場にある株主。しかし、彼らの期待を裏切る経営をすれば、場合によっては訴訟を起こされることもあります。

具体的なケースも踏まえ、会社側のリスクを説明します。

取引先や株主からの訴訟リスクとは

取引先からの損害賠償請求や株主代表訴訟など

取引先に送る商品の配送ミスや破損、誤発注などで取引先の業務に支障を来たし、損害を与えた場合には、損害賠償を請求されることもあります。

また株主代表訴訟は、例えば取締役が定款や株主総会の決議に違反する行為をしている、利益相反取引をして会社に損害を与えたなど、経営陣の重大な過失に対して株主が会社に代わり起こす訴訟のことです。粉飾決算なども、株主代表訴訟になる一例でしょう。

実際に株主代表訴訟を起こされたケースを耳にしたことがない、という方も多いかも知れませんが、実は毎年100件から200件程度、地方裁判所を中心に起こされているので、決して他人事ではありません。

  • 01

    株主代表訴訟とは

    会社に代わって株主が経営陣を訴訟

    上述のとおり、株主代表訴訟は、本来は会社が取締役に対して訴訟を起こすべき事案を、会社に代わり株主が起こす訴訟です。なぜ、このような制度があるのでしょうか。

    例えば、経営陣の判断ミスで業績が極めて悪化したとして、これに対し従業員が訴訟を起こすというのは、なかなか難しいことでしょう。

    これが株主の場合、配当金が得られないなど自身の損害にもつながります。そこで株主は、まず会社に訴訟を起こすよう申し出ます。会社は取締役に法的責任があるか調査し、申し出から60日後までに判断しなければいけません。その判断が「必要なし」となった場合に、会社に代わって株主代表訴訟が起こせるというしくみになっています。

    ちなみに賠償額は数千万から数億円が多く、なかには100億円以上という事例もいくつかあります。

  • 02

    取引先からの損害賠償請求とは

    取引先の業務に損害を与えた場合など

    商品の納入ミスや破損等で取引先に損害を与えた場合や、売掛金の未払い、突然の契約解除といった取引先とのトラブルが発展し、損害賠償を請求されることもあります。

    ただ、ケースによっては企業の責任ではなくミスをした個人の責任になる場合もあります。

    例えば、納入する商品を従業員が誤って破損し、取引先から損害賠償を請求されたという場合、その従業員が故意に壊したということが認められれば、「不法行為(民法709条)」または「債務不履行(民法415条)」に基づき、従業員個人の責任(一部は企業の責任)と判決されることもあります。

取引先や株主からの訴訟の事例

賠償額が数百億になるケースも

取引先に損害を与えたケースや、株主代表訴訟など、実際に取引先や株主が訴訟を起こしたケースをみてみましょう。

とりわけ株主代表訴訟は、多額の賠償金が生じることもありますので、事例を多く紹介します。

  • 取引先からの訴訟

    ソフトウェアの不正使用でPCスクールを訴訟

    パソコンスクールがソフトウェアを不正にインストールして使用。ソフトウェア会社が不正使用に対して損害賠償を起こしました。

    ただ金銭面で折り合いがつかず、パソコンスクールとその代表者が連帯で4,000万円を支払い決着しました。

  • 蛇の目ミシン工業事件

    筆頭株主の脅迫に応じ、巨額の損失が発生

    株式を買い占めたA社が、蛇の目ミシン工業に対して「債務の肩代わりをしろ」などと執拗に恐喝。

    これにより、会社に巨額の損害を与えたとして、元役員5名を相手に訴訟を起こしました。約583億円の賠償額は、当時では過去最高額です。

  • 神戸製鋼所株主代表訴訟事件

    総会屋への利益供与で株主代表訴訟

    いわゆる「総会屋」に対して利益供与を行った事件。株主総会を仕切ったお礼として、約2億円を渡したことについて株主が取締役等を相手に損害賠償を請求。会社に3億1000万円を支払うことで、和解が成立しました。

  • ダスキン事件

    無認可の添加物を使用し続けたことを隠蔽

    ダスキンが運営する飲食店で、無認可の添加物が入った肉まんを販売していたことが事件。

    この事実を2年間も公表していなかったことから、取締役・監査役に対して責任を追及。旧経営陣に総額53億円の支払いが命じられました。

  • アパマンショップHD株主代表訴訟事件

    グループ再編を目指した結果、株主からの訴訟に

    グループ会社のB社を完全子会社化するために、1株5万円で取得したアパマンショップ。

    しかし、B社の企業価値からその評価額は高額で、アパマンショップの株主が不当だと損害賠償請求しました。賠償額は約1億円。

  • 大和銀行株主代表訴訟

    約11億ドルもの損害、取締役らを相手に賠償

    旧・大和銀行の米国にある支店で、行員が不正な取引や証券保管業務を行い、銀行に約11億ドルもの損害を与えた事件。

    米国で刑事訴追されたうえ、株主も取締役らを相手に損害賠償を請求しました。2億5000万円で和解。

株主や取引先からの訴訟 責任の範囲はどこまで?

法人相手の賠償は高額になりやすい

取引先の場合、企業側の責任だけとは限らないケースもあります。

上述のとおり、商品の破損等が従業員の故意によるものであれば、過失割合は従業員のほうが高くなりますし、軽過失事例であれば従業員の賠償責任は0%~30%といわれています。

とはいえ、会社側に責任がないとは言い切れません。相手は法人ですから、高額の賠償請求になることもあります。

一方、株主代表訴訟の場合、その責任は経営者である代表取締役はもちろん、経営陣である取締役や監査役にも責任が追及されます。

しかも、会社の損失に対してのものですから、賠償請求額は個人が支払うにはあまりにも高額になりがちです。

万が一、こうした事態に直面した場合に備えて、賠償責任を補償する保険に加入するなどリスク対策をしておくことも重要ではないでしょうか。