【社外リスク】業種別に見る会社の賠償責任事例

製造業実際にあった訴訟・判例

製造物の製造販売に伴う賠償責任に関する訴訟事例集

ここでは、製品の欠陥や販売時の注意義務違反など、製造物の賠償責任を問われた訴訟と判決内容を紹介しています。合わせてリスクをカバーする方法も紹介していますのでご参考ください。

  • 製造業における訴訟・判例1「無煙焼却炉火災事件」

    焼却炉のバックファイヤーによる火災と従業員の火傷の責任はどこに?

    • 事件名:無煙焼却炉火災事件
    • 提訴年月日:2004/9/9
    • 裁判所:富山地裁
    • 原告:木製製品製造販売業者とその従業員
    • 被告:焼却炉製造業者
    訴訟内容
    購入した焼却炉の使用中に起きた事故を巡って、原告がメーカーである被告に製造物損害賠償責任を追及した訴訟。今案件で問題となる焼却炉は、灰出し口を空けるとバックファイヤーが発生する構造的な欠陥があった。被告はこの欠陥を伝えず焼却炉を販売。そのため、原告側の従業員が火傷を負い、工場が焼損した。
    請求額
    2,010万円
    争点
    焼却炉の構造に欠陥があったか、焼却炉を製造販売した被告側からの指示や警告はあったか、火災の原因は何か、従業員が火傷を負ったのは被告の責任かといった点が争点となった。
    判決内容
    焼却炉の灰出し口からバックファイヤーが起きることは構造的欠陥とは言えない。しかし、一般人が使用する可能性があるため、危険性について被告側が指示・警告する義務があった。また、火災の原因は焼却炉のバックファイヤーであり、原告の従業員が負った火傷の責任も被告にあるとの判決が下された。
    認容額(賠償額)
    2,010万円
  • 製造業における訴訟・判例2「三六木工事件」

    安全配慮義務違反で木材加工販売会社が約1億6千万円の支払い命令を受ける

    • 事件名:三六木工事件
    • 提訴年月日:-
    • 裁判所:横浜地裁
    • 原告:木材加工販売会社
    • 被告:木材加工販売会社勤務のトラック運転手とその妻
    訴訟内容
    業務中の事故で負傷を負った被災者と妻が勤務先企業に対し、損害賠償請求訴訟を起こした。被災者が負傷したのは、クレーンを使って大型トラックに約850㎏のチップ原木を積み込む作業中の事故。原木の玉かけに使っていたワイヤロープがほどけ、事故が起きたことで原告は第1級の障害を負った。
    請求額
    -
    争点
    争点は安全配慮義務違反であるか否か。玉掛け用に使っていたのが本来使用してはいけない台付け用ローブであったこと、玉掛けの方法が原則とは異なる一本吊り方法であったこと、安全荷重を超える量の原木を吊り上げようとしていたこと、作業者が法定資格所有者ではないことなどが注目された。
    判決内容
    被災した原因が被告側企業の安全配慮義務違反にあることが認められた。被告企業とその代表取締役は債務不履行、または不法行為による損害賠償責任があるとし、総額1億6千万円以上の支払い命令が下った。
    認容額(賠償額)
    16,524万円
  • 製造業における訴訟・判例3「給食食器視力障害事件」

    給食食器の破片による事故で問われることになった製造物責任

    • 事件名:給食食器視力障害事件②
    • 提訴年月日:2000/8/10
    • 裁判所:奈良地裁
    • 原告:眼を負傷した女児
    • 被告:食器製造会社、国(国賠法)
    訴訟内容
    ケガを負った原告が加工販売業者と国に対し、損害賠償請求訴訟を起こした。原告が被災したのは、小学3年生のころ。給食で使われていた強化耐熱ガラスの食器を落とした時に飛び散った破片により、右目の角膜裂傷及び外傷性白内障で後遺障害を負った。
    請求額
    1,440万円
    争点
    争点は、食器に欠陥があるか否か、今回の事故と後遺症の因果関係はあるか、小学校教職員に過失はあるか、公的営造物(本案件では給食用の食器)の設置・管理に瑕疵があったかである。
    判決内容
    食器の構造的欠陥は認められなかったが、破損した場合に破片が鋭利になる危険性についての情報提供がされていないため、表示内容に欠陥があると認められた。ただし、教職員の過失や瑕疵については認められなかった。
    認容額(賠償額)
    1,037万円
  • 製造業における訴訟・判例4「立体駐車場死亡事件」

    立体駐車装置内での事故で製造販売業者が訴えられる

    • 事件名:立体駐車場死亡事件
    • 提訴年月日:2000/6/16
    • 裁判所:福岡地裁小倉支部
    • 原告:カラオケボックス経営業者
    • 被告:立体駐車装置製造販売業者
    訴訟内容
    カラオケボックス経営業者が立体駐車場で起きた死亡事故で立体駐車装置製造販売業者に対し、製造物賠償責任を求めて訴訟を起こした。事故はカラオケ店の従業員が、立体駐車場内の構内に人がいる状態で装置を動かしたことで発生。カラオケ店側は装置に人を感知するセンサーがない欠陥や販売時に説明がなかったと供述した。なお、原告は被害者遺族に和解金などを支払っている。
    請求額
    4,100万円
    争点
    争点は、カラオケ店に設置されていた立体駐車場の装置に欠陥があったかどうか、売買契約の締結で被告側に説明義務があったか。製造物賠償責任と売買契約における債務不履行責任が問われた訴訟。
    判決内容
    判決では、立体駐車場の装置に欠陥があったかの言及はなかったが、被告営業担当者による危険性の説明がなかったことから、売買契約にあたっての債務不履行責任が認められた。一方、原告側は立体駐車場装置を操作していたアルバイト店員に対する説明が十分でないとし、減額する結果になった。
    認容額(賠償額)
    1,392万円(債務不履行責任を肯定。製造物責任については判断せず)
  • 製造業における訴訟・判例5「冷凍庫発火事件」

    業務用冷凍庫で建物が半焼、レストラン経営者が製造会社に訴訟

    • 事件名:冷凍庫発火事件
    • 提訴年月日:-
    • 裁判所:東京地裁
    • 原告:レストラン経営者及びその家族3名
    • 被告:電気機器製造会社
    訴訟内容
    レストラン経営者とその家族が業務用冷凍庫による火災で製造会社に対し、製造物賠償責任を求めて訴訟を起こした。事件は、原告が家族で運営する店舗兼自宅のレストランで発生。導入した業務用冷蔵庫が発火し、建物が半焼した。
    請求額
    総額3,282.75万円
    争点
    争点は、業務用冷蔵庫に欠陥があったか、製造販売した電気機器製造会社に過失があったか。原告が3名いるため、損害賠償の請求額は個別に算定された。なお、ここでは総額のみを記載。
    判決内容
    判決では、火災の原因が冷蔵庫にあり、合わせて欠陥があると推認された。なお、被告が安全性確保の義務違反による過失があるとし、くつがえす反証がなかったことから、一部認容となった。
    認容額(賠償額)
    総額902.25万円
  • 製造業における訴訟・判例6「電気式床暖房製品出火事件」

    電気式床暖房製品から出火、建築工事業者が製造業者を訴える

    • 事件名:電気式床暖房製品出火事件
    • 提訴年月日:-
    • 裁判所:東京家裁
    • 原告:建築工事請負業者
    • 被告:電気式床暖房製品製造業者
    訴訟内容
    建築工事請負業者が電気式床暖房製品による火災で製造会社に対し、損害賠償責任を求めて訴訟を起こした。事件は、原告が新築物件の工事で設置した電気式床暖房製品が物件の引き渡し後に出火したことで発生。原告は改修費用等の請求を求めた。
    請求額
    210万円
    争点
    争点は、電気式床暖房製品に欠陥があったか、製品は火災と因果関係があったか、原告が被告に対して請求権を有しているか。なお、請求権の根拠や負担額などについても争われた。
    判決内容
    当案件では、製品評価技術基盤機構が火災の原因を調査。製品に設計不良があり、他にも同じような事故が起きていることから製造物の欠陥が認められた。また、原告と被告との契約で「火災が製品に起因する場合、改修費用を製造業者が負担する」となっていたことから、被告の全額負担という結果になった。
    認容額(賠償額)
    210万円
  • 製造業における訴訟・判例7「エアバッグ暴発手指等負傷事件」

    輸入業者もPL法に問われる、輸入車のエアバックとケガの因果関係

    • 事件名:エアバッグ暴発手指等負傷事件
    • 提訴年月日:平成19年12月5日
    • 裁判所:東京家裁
    • 原告:自動車運転者
    • 被告:自動車輸入業者
    訴訟内容
    自動車のオーナーがエアバックの暴発によるケガで自動車輸入業者に対し、エアバックに欠陥があったとし、製造物賠償責任を問う訴訟を起こした。原告が信号待ちで停まっていた際に、エアバックが突然暴発し、原告は左指等にケガを負った。
    請求額
    2,535万円
    争点
    争点は当該輸入車のエアバックに欠陥があったか、輸入車オーナーのケガや後遺症と事故の因果関係。なお、原告は指のケガだけでなく、変形性頸椎症や左肩関節周囲炎などの原因も事故にあると主張している。
    判決内容
    判決では、当該車両が停車中に衝撃なくエアバックが作動したことと助手席のエアバックは作動していないことから欠陥があると判断。一方、原告のケガとの因果関係については、一部認容という結果となった。
    認容額(賠償額)
    493万円

万が一訴訟になっても困らないために

膨大な費用負担に備えるための賠償責任保険

業務を行っている最中や製造している商品から生じる事故によって損害が大きくなってしまうリスクを、企業はあらかじめ予測しておかなければいけません。

今回紹介した製造業で起きた事故やトラブルに限らず、他にもこういったケースは実際に確認されています。製造業を営む会社では取り扱いの難しい機材や部品も多くあるため、全社での従業員管理やマニュアルを徹底しておくことで、被害をある程度は未然に防止することができます。

しかし、事業を展開している以上、完全にリスク取り除くことはできません。万が一の場合に備えて問題が起きてしまっても対応ができるように生産物賠償責任保険への加入を速やかに検討すべきでしょう。訴訟により製造業責任者に責任が認められてしまった場合、高額の賠償金を支払う可能性が出てきます。そうなってからの対応では手遅れです。このように企業側に損害が出てしまった場合、賠償責任保険は全面的に補償をしてくれます。事故やトラブルへの対処策として、いち早くの加入が求められます。